陶芸の情報 | 作り方
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陶芸情報と作陶方法について

陶芸の情報 | 作り方 記事一覧

陶芸教室との出会い

 「いつか」はいつまで経っても100%実現しない私は2014年8月から陶芸を習い始めました。自分にとって40歳を迎える節目の時期であり、4月ごろからずっとやってみたかった陶芸教室を探し始めました。今までの経験としては、小中学校の工作の授業で粘土をこねた程度ですから完全な素人です。いつか陶芸をやってみたいと思っていても、そのままでは永久にやらずじまいだったでしょう。実際に20年という歳月が流れてしま...

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陶芸用の原土採取

 陶芸で使える粘土はどんなもの?陶芸用粘土の要件はおもに3つあります。耐火性があること・・・1,200℃以上の温度に耐えることができる。可塑性があること・・・水を含むと粘りけを持ち形を作ることができる。乾燥すると固まる。収縮率が低い・・・焼きあがった時におおむね15%程度の収縮。つまり市販されている陶芸用粘土は耐火性があるのはもちろん、誰でも成形・焼成しやすいように調整されたものです。これは便利で...

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原土の乾燥と保存

 原土(げんど)を日にさらす採取した原土はまず天日干しします。特に掘り出されるまで地中にあった土は、空気に触れることでさまざまな変化が起こります。たとえば採取した時は灰色の土が、乾いてから日を追うごとに褐色になっていったことがあります。白っぽい土が乾燥してから黄土のようになったものもあります。これは水で粘土に戻しても変化後の色のままです。画像は灰色から褐色に変わった原土です。粘土に含まれる微量元素...

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はたき土とは

 はたき土についてはたき土は乾燥した原土(げんど)を砕いて水を加えた粘土のことです。この粉砕することを「はたく」または「はたき」とよびます。乾燥した土のかたまりを粘土に戻す基本的な作業です。はたき土は原土をそのまま使うため目が粗く不純物(砂や小石、有機物など)が多い粘土です。したがって精製された粘土と比べて成形しづらく扱いにくいものといえます。しかし不純物のおかげで土味は独特のものとなり、ちょっと...

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水簸土(すいひつち)とは

 水簸について水簸(すいひ)とは粘土の精製方法のひとつです。採取した原土(げんど)を水でかき混ぜて余分なものを取り除く作業のことです。水簸の利点としては小石などが取り除かれて、きめ細かい土になるのでロクロ成形がしやすいです。欠点としては土の成分が水に熔け出して、本来の土味が失われることもあります。アルカリ分など作陶に有害なものも熔け出る一方、鉄分などその土独自の成分も水にある程度は熔けだしてしまい...

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陶芸7つ道具!

陶芸をするのに必要な道具はそこまで多くありません。もちろん陶芸教室や窯元での体験作陶では設備が整っていますが、自宅でも製作は可能です。凝りだしたらキリがありませんが、必要最低限度の道具で十分に作陶できます。粘土や釉薬は通販で買えるほか自己調達することも可能です。しかし窯は用意できない場合がほとんどですので、窯がある陶芸教室や窯の所有者に相談するしかないでしょう。私は窯がないので都内の陶芸教室に通っ...

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粘土を寝かせると良い理由

 粘土を貯蔵すると水分を含んだ粘土の中ではどのようなことが起こるのでしょうか。よく言われるのは「しばらく寝かす(貯蔵しておく)と粘りが出て成形しやすくなる」ということです。水を含ませてもひびが入りやすく、成形しづらい粘土も数か月寝かせると改善します。実際に体験した方もたくさんいると思います。これは粘土の中にいる微生物すなわちバクテリアのおかげです。たとえばパンや味噌もバクテリアの種類は違えど微生物...

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原土のテスト1/3:テストピースと素焼き

 原土のテスト項目について採取した原土はまず成形できることが大前提です。その上で試し焼きをする「テストピース」を作ります。テスト内容は以下の3項目です。耐火度:どのくらいの温度まで耐えられるのか収縮率:成形して焼いた後、どのくらい縮むのか釉の発色:原土と釉薬の相性と色見たとえば1,200℃で焼成することを想定した場合、複数のテストピースを作ります。テストピースの大きさと形は用途によって変えていきま...

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原土のテスト2/3:施釉

 施釉と不要な釉をふき取る素焼きしたテストピースに釉薬をかけます。工具でつまむか素手でピースごと釉薬に浸します。釉薬の成分がよくわからない場合は工具を使えば安全です。釉薬は試せるだけの数を用意します。どのピースに何の釉薬をかけたか混同しないよう、メモに残しておくとよいでしょう。次は釉薬をふき取る作業になります。テストピースの接地面に釉薬が残っていると、本焼きしたさいに地面にくっついてしまいます。こ...

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原土のテスト3/3:検証

ここで各テストピースについて結果検証を行います。ぐい呑み型のテストピースが5個、板状のテストピースが16枚です。本焼成時間は火入れから9時間で目標温度に達して窯の電源をoffしました。【焼成条件】温度:1250℃ ねらし焚き(最高温度をキープする焚き方)実施せず※1250℃に達した時点で電気窯の出力off。その後24h放置して徐冷。焼成雰囲気:酸化焼成。電気窯にて計9h焼成。 ぐい呑み型テストピー...

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何を作るか?販売品への要望と不満が大切

 販売品に対しての不満??自分で陶芸をするさいに何を作るかは思案のしどころです。実際に自分で作るわけですから、日々使える日用品かもしれませんし、飾って楽しむ作品でもよいわけです。作陶をする方々に「どんな作品を作りたいですか?」と聞くと、異口同音に「販売店では手に入らないもの」という答えが返ってきます。たしかに私の場合、質は到底求められませんが「どこにも売ってないオリジナル」という要素は魅力的です。...

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手びねりの基本:玉作り

 玉づくりについてロクロを使わない手びねりの中でも、玉づくりは最もシンプルな成形方法です。土を締める・立ち上げる基本作業ですので、玉づくりができれば大抵の作品ができるようになります。球状の粘土から立ち上げて好みの厚さで形を作っていきます。手びねりの良さはなんといってもその手作り感です。表面には指のあとが残り、形を見ても柔らかさが見てとれます。陶芸家をはじめ一般の方々でも「手びねりの空気感がよい!」...

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素焼の目的

 素焼きをすると何が起こる?作品ができるなかで素焼きは本焼きする前の仮焼をする工程です。施釉する場合は素焼をするのが一般的です。乾燥させた粘土をおおむね600℃~800℃の低火度で焼きます。素焼きすると何が起こるか把握すれば、おのずとその目的がわかります。そしてつくりたい作品に応じて素焼きをするか否か、するならば温度帯はどうするか決めていきます。素焼きをすると以下のことが起こります。作品中の水分が...

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釉薬を自作する1/3 | はじめに

 釉薬を自作する面白さ市販の釉薬は安定していて扱いやすいものが多いです。しかし焼成環境がほぼ同じであれば、誰でも同じような釉調になります。安定性に優れている反面、これでは個性が出せず物足りない事もあるでしょう。そこでオリジナルの釉薬にチャレンジすることもできます。安定性は市販のものに及びませんが、釉の個性や意外性という点では非常に興味深いと考えます。テストピースを作って調合を記録すれば再現も可能で...

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釉薬を自作する2/3 | 長石と灰の準備

このページでは具体的な手順について紹介します。まず長石・土灰の例を見ていきましょう。なお藁灰を灰の段階から精製する場合は、土灰の作業手順に準じます。 長石を砕く手順釉薬の原材料である長石を砕くには段階を追って作業します。原石を大まかに割ったあと少しずつ細かく砕いていきます。今回用意した道具と用途は以下の通りです。鉄製ハンマー:大ざっぱに割ったあと砕いていく石臼:粒を細かくしていく。はじめはゆっくり...

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釉薬を自作する3/3 | テスト焼成と検証

 テストピースの準備とテスト焼成自作した釉薬のテスト焼成と検証を行います。テストピースは小型のぐい呑みを作りました。テストの目的は以下の通りです。しっかり熔けるか:ガラス質になって素地に溶着するか発色はどうか:理想とする発色・釉調に近いか釉の硬さ・柔らかさ:溶けやすさ、流れやすい釉か否かその他…上記以外のトラブルについて本番ではぐい呑みか茶碗を作りたいので、ぐい呑み型のピースにしました。一般的なの...

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楽茶碗の土選び

 土壁の要件から楽茶碗の土を選ぶ安土桃山時代に始まる楽茶碗の土は、聚楽第(じゅらくだい)の近隣で取れた土といわれます。聚楽土とはおもに土壁に塗るための黄土で、楽茶碗にも使われました。その土があれば有難いのですが、京都の市街地では発掘が困難な状況です。そのため現代の聚楽土は似た成分をブレンドした土で、陶芸に向くか分かりません(耐火度・収縮率など)。したがって安定供給される市販の陶芸土から探すのが妥当...

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楽茶碗の作り方1/5 | 型おこし

 なぜ型おこしが必要なのか?型おこしは楽茶碗の土台を作る作業です。赤楽・黒楽ともに同じ形の筒形にして、室(ムロ)で1~2日保管します。ムロとは密閉した乾燥室のことで、作品全体の水分量が均一になります。密閉状態ですから、作品の厚いところの水分が適度に抜け、作品の薄いところに水分が回るわけです。たとえば乾燥した部屋の片隅に加湿器があれば、最終的に部屋全体の湿度が均等になりますね。成形直後に腰を立ち上げ...

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楽茶碗の作り方2/5 | 成形

 楽茶碗の成形:水分量について今回は筒形から土を動かして成形する工程です。ここで腰の立ち上げを行い、全体の形を決めていきます。ムロで1~2日間保管した作品を手に取り、全体の水分量が均一になっていることを確認します。水分量の目安は作品に軽く爪を立て、しっかり跡がつく柔らかさが理想です。5~7日経過した場合は水分が抜けていますので、スポンジで全体を加水して、濡れタオルをかけて30分ほど置いておけばこの...

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楽茶碗の作り方3/5 | 削りと仕上げ

 楽茶碗の削り削り作業は、成形に続き大切な工程です。ムロで乾燥させた作品の高台を削り出し、高台回りとその周辺、見込み(茶碗の内側)、高台内の順に削り作業を行います。削りが終わったら外観を再確認して、素焼き前の乾燥となります。なお前回の本成形から6日間ムロで乾燥させた状態です。水分が抜けていますので、作品の内側・外側まんべんなく加水しておきます。高台の削り出し見込み(茶巾摺り・茶筅摺り)の削り高台内...

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楽茶碗の作り方4/5 | 素焼きと赤楽釉の施釉

 楽茶碗の素焼き削り作業後、7日間乾燥させた状態で素焼きしました。素焼は電気窯で実施しました。2時間で常温から758℃まで昇温し、練らし(高温をキープすること)は実施せず。電源offから1時間経過後、266℃まで温度が下がった時点で現場を離れました。その後、約20時間放置してから取り出しています。椀形の1椀はきめ細かく混ぜ土をしています(信楽ロット土7:原土「J」3)。重量は240gから224gと...

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楽茶碗の作り方5/5 | 焼成

 赤楽の焼成準備施釉後の焼成工程となります。赤楽は酸化雰囲気で焼くことになりますので備長炭(白炭)を用意します。還元雰囲気になれば緑もしくはやや青味がかった釉調になってしまいます。なお黒炭は火付が良いのですが、還元気味になるので使用しませんでした。用意するものは以下の通りです。作品および七輪窯と断熱材送風機:鞴と連結ホース。七輪とホースの隙間は粘土を詰める燃料:備長炭(白炭)3kgで3作品分。2~...

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薪はなぜ赤松なのか?

陶芸の薪窯で使われる燃料の中で、なぜ赤松が選ばれるのでしょうか。窯の温度を上げるだけならば、一般的に暖炉で使われるナラやカシの薪でも優秀な燃料となります。そこで赤松だけが持つ利点・特性を挙げていきたいと思います。 火力の強さ赤松には発火性をもつ樹脂が含まれています。たとえば松明(たいまつ)は松材の樹脂が使われますね。この樹脂というオイルが発火性を高めてくれるので火のつきがよく炎が長いのが赤松の特徴...

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炭はなぜ備長炭(白炭)なのか?

 備長炭(白炭)の利点一般的によく目にする備長炭(びんちょうたん)は陶芸用の燃料としても優秀な炭です。備長炭の原材料はウバメガシという樫の仲間です(正確にはブナ科コナラ属)。ウバメガシは和歌山県の県木としても知られ、紀州和歌山といえば備長炭が有名です。備長炭は1,000℃以上の高温で焼かれたウバメガシを窯の外に出して、灰や土をかけて消化・急冷して作ります。高温で焼かれるため硬質で叩くと金属音すらし...

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鞴(ふいご)は最強の送風機!

 鞴について鞴(ふいご)は主に鍛冶現場で使われていた送風機のことです。大きいものは踏み鞴である「たたら」が有名です。これはシーソー状態のたたらを、作業者がそれぞれ両端にいて交互に踏むことで空気を送ります。たとえばジブリ作品の『もののけ姫』に出てくる「たたら」は巨大鞴の一例です。これを木製の箱型にして、取手で空気の送出ができるタイプの鞴があります。これは陶芸においても優秀な送風機として機能します。陶...

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自作鞴(ふいご)と構造について

 鞴の構造送風機である鞴(ふいご)は一見ただの木箱ですが、その密閉性ゆえに強力な送風機として機能します。主に鍛冶現場で欠かせない道具であった「箱鞴」。構造について何件か問合せをいただいたので、概要と詳細を述べたいと思います。鞴の構造は4つの弁を持ち、ピストンを前後させることで圧縮された空気が図のように出てきます。まず赤色で図示したものが4つの弁。そして青い矢印が空気の流れです。鞴の部位を大別すると...

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七輪陶芸と鞴(ふいご)焼成の実際

 七輪に合ったサイズの作品を用意食べ物を焼く七輪には様々な形状があります。その中でも筒形の七輪を窯として使っていきます。作品は市販の耐火粘土で湯呑みサイズのものを用意しました。ロクロは使わず手びねりで成形後、2日ほどおいて削って仕上げます。そこから1週間乾燥させた状態です。耐熱・耐火粘土は1,200℃程度の耐火度があり、火が直接かかっても大丈夫です。ですのでこれを七輪窯にそのまま入れて炭の直火で焼...

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