楽茶碗の作り方4 | 素焼きと赤楽釉の施釉

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楽茶碗の作り方4 | 素焼きと赤楽釉の施釉

 

 楽茶碗の素焼き

削り作業後、7日間乾燥させた状態で素焼きしました。素焼は電気窯で実施しました。2時間で常温から758℃まで昇温し、練らし(高温をキープすること)は実施せず。電源offから1時間経過後、266℃まで温度が下がった時点で現場を離れました。

楽茶碗素焼き時の窯内部温度

その後、約20時間放置してから取り出しています。椀形の1椀はきめ細かく混ぜ土をしています(信楽ロット土7:原土「J」3)。

楽茶碗素焼き後

重量は240gから224gとなり、手取りはかなり軽い状態です。この椀形の作品は厚めに施釉することにします。いっぽう半筒の2椀は粗目に混ぜ土をしています。

楽茶碗2つの半筒形_素焼き後

半筒の2椀は原土のダマが斑点になっています。手取りは椀形よりやや重く程よい重さです。この2椀の重量は計っていませんが、施釉は通常の厚みで行います。

 

 赤楽の釉薬を調合する

今回の3椀は全て赤楽にしていきます。黒楽については作陶したさいに別途紹介させていただきます。

 

またこのように施釉するのではなく、黄土を化粧掛けして素焼きし、その後に透明釉を塗る方法もあります。今回は透明釉に黄土を混ぜて赤楽の釉薬として紹介させていただきます。

 

ここでは3パターンの釉薬でつくって施釉していきます。計量は家庭用の軽量スプーン(10g)で行います。

 

有害な鉛を使いますので、自己責任で作業を行います。私は素手で調合・施釉していますが、手袋と防塵マスクの着用を強くお勧めします

 

【基礎釉の材料】

  • 鉛白5杯:炭酸水酸化鉛。白粉(おしろいのこと)、唐の土、白鉛とも呼ばれます。
  • 珪石2杯:市販の粉末状の珪石を使います。
  • 有鉛フリット1杯:鉛を含むガラス粉のことで白玉とも呼ばれます。
  • フノリ30cc:乾燥フノリを熱湯で熔かしたもの。釉薬の密着を高め、筆で塗りやすくなります。

これで透明に近い基礎釉ができます。ここに黄土を1杯加えるとオレンジ色の発色が得られます。基礎釉に黄土1杯を加えたパターンと、2杯のパターン。計3種類の釉薬を作ります。

 

【調合方法】
ここでは固形の乾燥フノリ3gを、500ccの熱湯でもどしています。フノリが熔けて粘りが出たら火を止め、網目の調理器具で裏ごしします。次に鉛白など原料を調合します。

まず乳鉢を用意して鉛白を5杯(=50g)入れます。鉛白は粉状に小さなかたまりがたくさんあるので、水を少し加えてから乳棒でダマを潰します。クリーム状になるまで滑らかになったら、珪石を2杯、有鉛フリットを1杯、黄土を2杯入れます(動画の例)。

 

よく乳棒で混ぜたら30ccのフノリを入れて水を加えます。必要に応じて水を加え、筆で塗りやすい濃度まで調整して釉薬が完成します。

 

 鉛原料について

記事を書いている2015年4月3日現在、陶磁器原料における鉛とカドミウムは、飲食用陶磁器において法律で一部規制されています。問合せ結果を参考までに記載させていただきます。問合せ先:厚生労働省

  • 法律名:食品衛生法
  • 管轄省庁:厚生労働省
  • 参考文書名:『器具及び容器包装のカドミウム及び鉛に係る規格の改正に関するQ&Aについて』pdfファイル。2008年8月11日作成。出典:厚生労働省ホームページ。
  • 問合せた対象品:飲食用陶磁器(抹茶碗)×3
  • 区分と用途:加熱用調理器具(鍋やグラタン皿など)と異なり、過熱使用を主目的としない
  • サイズ:それぞれが深さ2.5cm以上、容量1.1l未満
  • 検査方法:飲食物が触れる部分を4%酢酸に24時間浸し、その熔液を調べる
  • 鉛の基準値:0.5μg/ml。μg(マイクログラム)=100万分の1g
  • カドミウムの基準値:2μg/ml。μg(マイクログラム)=100万分の1g

この数値を下回れば基準を満たしていることになります。ただし数値を超えた場合でも、全面禁止というわけではありません。たとえば食器以外の鑑賞用作品。今回のような個人作陶・個人使用、鉛使用の旨と使用上の注意を明示した作品など、これらについては規制対象とはなりません。
※参考文書:『器具及び容器包装のカドミウム及び鉛に係る規格の改正に関するQ&Aについて』

 

 楽茶碗の施釉方法

施釉は3種類の釉薬を、3椀それぞれに筆で塗っていきます。内側・外側前面に施釉するわけですが、最初は内側から施釉します

赤楽の施釉1

内側が乾いたら手をすっぽり入れ、外側に施釉します。高台内は筆を立てて細部までしっかり施釉します。

赤楽の施釉2

このように内・外側を3〜4回ずつ施釉します。なお茶碗内側の茶巾摺り(ちゃきんずり)のほか、表情を出したい正面などはプラス1回〜2回厚めに施釉するとよいです。

器面が滑らかになれば茶碗を拭く茶巾がすれにくくなり、釉薬の濃淡で作品の表情に変化がつきます。表情づけは茶碗の外側に、釉薬を筆で打ち付けていきます。

 

椀形施釉後

椀形の1椀。基礎釉に黄土20g(2杯分)を加えたもの。3椀の中で最も色が濃い

 

椀形の1椀に対して表情づけをした画像です。表面をみると釉薬の濃淡で凹凸ができていますね。釉薬が乾いたら、その上に再度釉薬を塗って積み上げる要領で作業します。

 

これは鋳物(いもの)で用いる肌打ち技法を応用しています。(参考ページ : 肌打ち | 肌打の陶芸技法)

施釉後の半筒2椀

半筒の2椀。左が基礎釉、右側は基礎釉に黄土を10g混ぜた色。

 

施釉後の表面に小さな粒が残ることもあります。これは鉛白のダマが残っているので、乾燥後に丁寧に取り除きましょう。3〜4日十分に乾燥させたら本焼成となります。

 

前の工程へ:削りと仕上げ

 

次の工程へ:赤楽の焼成

 

 

 

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