はたき土とは
はたき土について
はたき土は乾燥した原土(げんど)を砕いて水を加えた粘土のことです。この粉砕することを「はたく」または「はたき」とよびます。乾燥した土のかたまりを粘土に戻す基本的な作業です。
はたき土は原土をそのまま使うため目が粗く不純物(砂や小石、有機物など)が多い粘土です。したがって精製された粘土と比べて成形しづらく扱いにくいものといえます。しかし不純物のおかげで土味は独特のものとなり、ちょっとした焼成条件の違いで様々な表情の作品が取れることでしょう。
それとは逆に土のキメを細かくして不純物をある程度取り除くには、水簸(すいひ)という作業を行います。両者を饅頭のあんこに例えるとすれば、「はたき土はつぶあん」、「水簸土はこしあん」のようなものです。(参考ページ : 水簸土(すいひつち)とは)
なお市販されている粘土が乾燥した場合の「はたき」も同様です。下記手順で粘土を再生して使ってください。画像は採取したままの自然の粘土です。乾燥させて3週間ほど保管したものを砕いていきます。
1.土を砕く(=はたく)
完全に乾燥した粘土を木づちで細かく粉砕していきます。ここで細かくしておかないと、水を含ませた時に大きな硬いかたまりが邪魔になってきます。できるだけ細かく砕いておきます。この状態でフルイにかけたものを「はたき粉(はたきこ)」または篩土(ふるいつち)ともいいます。ただし、ありのままの土味を出したいのでここではフルイを使用しません。
2.水を含ませてかき混ぜる
容器に入れた粘土に水をかけてかき混ぜます。水浸しにせずソボロ状になる程度の水分量にとどめます。水が多いと粘土が容器にこびりついて取りづらくなるためです。
3.大きめの石を取り除く
粘土をおおざっぱでよいのでまとめた後、大きめの石を取り除きます。小さくちぎっては平らに潰し、邪魔になりそうな石の有無を確認していきます。なるべく自然のままの土味にしたいので、小さめの石は入れたままにします。焼いた後に「石はぜ」といって石がうつわの表面に飛び出ることもありますが、その状態も景色として面白いので残しておきます。
なお小石を残しておく利点は土本来の味わいを出せることです。しかしロクロ引きするさいには小石が邪魔になります。したがって小石を残す場合は手びねりで作るか、乾燥後にふるいにかけて小石を徹底的に除きます。ロクロならば水簸(すいひ)土が引きやすいですね。
4.荒練りして貯蔵する
現状では粘土本来の粘りが乏しく成形も難しいため、軽く荒練りして水分を粘土全体に行き渡らせます。市販の粘土とは違いかなり練りづらいです。ただ水分量が一定になればいいので、きれいに揉む必要はありません。
その後はビニールで包み水分が飛ばないよう貯蔵します。その期間は最低でも数か月間、おおむね3~5年程度が妥当と思われます。この貯蔵期間のおかげで土は粘りけを増して粘土らしくなっていきます。
ちなみに備前の土などは場合によっては数十年寝かすものもあり、親が子に残すようなケースもあります。ただ、そんな悠長なことも言っていられません。数週間~数か月程度だとしても、粘りや成形の可否など小出しに試してみるのが良いと思います。