陶芸用の原土採取
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陶芸用の原土採取

 

 陶芸で使える粘土はどんなもの?

陶芸用粘土の要件はおもに3つあります。

  • 耐火性があること・・・1,200℃以上の温度に耐えることができる。
  • 可塑性があること・・・水を含むと粘りけを持ち形を作ることができる。乾燥すると固まる。
  • 収縮率が低い・・・焼きあがった時におおむね15%程度の収縮。

つまり市販されている陶芸用粘土は耐火性があるのはもちろん、誰でも成形・焼成しやすいように調整されたものです。これは便利である一方、誰でも同じような作品になってしまいます。焼成条件が同じならば土の個性が出ないため物足りないケースもあります。

 

そこで実際に使えそうな粘土を探して陶芸に使う準備をします。いわゆる原土(げんど)を採るわけですが、これらの土は個性が強いので面白い作品が狙えます。

 

テストをすると高温で跡形もなく熔けてしまうものや、ひびが入って容易に成形できないものもあります。耐火度のないものはこの際あきらめ、成形しにくい粘土は作品として実績のある成形しやすい土に混ぜたりします。

 

理想は原土を単独で使うことですが、まずはどんな土味になるのか試しに焼ける環境があればベストです。環境がない場合は近隣の陶芸教室など実際に窯のあるところに相談してみましょう。いずれにせよ数種類の原土を確保しておくとよいです。

 

 原土はどこにあるのか?

粘土は花崗岩などの岩石が風化してできたものです。したがって岩石が多い場所といえば山が思い浮かぶと思います。風化した岩石の成分は雨や風で移動しているので、山に限らず川やその水を引いた田んぼにも粘土が堆積するケースがあります。

 

また、粘土ができるサイクルは数万年~数百万年とも言われますので、そうした地層があれば山川に限らず都内の公園でも粘土が見つかります。

 

実際に原土を探し当てるまで、私の場合は人からいただいた情報がほとんどです。それは友人・知人、陶芸家、農家の人など実にさまざまです。採取した一例を紹介したいと思います。

 

▽九州某所にて▽

白っぽい原土

ご厚意で敷地内の白っぽい粘土を分けていただいた。下は裏庭の赤粘土

赤い原土_Oさん邸

少量ずつなので2種類の土をまぜてビニール袋で持ち帰りました。分けて下さった方の名前を採って「O」というテストピースを作ります。テストピースとは釉薬の発色や耐火度を知るための「試験用の欠片」のことです。これは別の記事で紹介させていただきます。

 

▽都内某所にて▽

縄文時代の原土?

ここは縄文土器の発掘跡地で、土手は地層を斜めに切り出した坂になっています。そのむき出しになった地面の一部に粘土が露出しています。草木が枯れる冬場はもっと探しやすいと思います。

 

粘土は白っぽく赤茶色の粘土も含まれます。鉄分が多く乾燥させると茶色に変色します。縄文時代の粘土だったらいいな~という思いを込めて「J」というテストピースを作ります。

 

このように自分で採取する場合は見つからない可能性も十分あります。量を採ることもできませんし、掘り返したら当然元通りに地直する必要があります。また、時に管理者の許可を得るなど何かと手間はかかります。しかし原土から作品ができた時の達成感は、何にも替えがたい体験となるはずです。

 

 原土の保管

この原土はベランダや庭先で天日干しします。カラカラに乾燥した状態になったら、出来るかぎり長期間そのままにするか、袋に入れて保存します。

 

これを粘土に戻す場合は「はたき土」にする作業を行います。はたきの詳細についてはこちらを参考にしてみて下さい。(参考ページ:はたき土とは

 

 

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