皿について皿は私たちにとって最も身近な食器の一つで、平らで浅めのうつわのことです。食材を盛りつけたり取り分けるためのもので、大きさによって小皿・中皿・大皿と大別されます。また、装飾の美しいものや、見栄えのする大皿などは飾り皿として用いることもあります。皿のサイズ表記には「寸」という単位がよく用いられます。販売店などでも「五寸皿」「七寸皿」という表記を目にした方もいると思います。1寸=3.03cmで...
壺と甕について壺(つぼ)と甕(かめ)はそれぞれ古くからある器形として馴染みのあるものです。古くは飲食物の貯蔵容器や煮炊き用の調理具のほか、火葬した遺骨を納めるものとして使われました。現代では多種多様な容器として、もしくは草花を活ける花器、飾って楽しむ調度品として広く用いられています。大型のものは美術館やインテリアショップ、または飲食店などでも大壺や大甕が飾られているのを目にすることもあります。屋内...
井戸形とは井戸形という名の由来は、高麗茶碗の一種とされる井戸茶碗からきています。「井戸」と呼ばれる理由については、様々な説があって定説がありません。「井戸形」という呼称はぐい呑みや汲み出しにも使われますが、茶碗に使われるのが一般的です。そして琵琶色の釉調と器面のロクロ目も大きな特色ですので、「井戸形」とは形(ロクロ目も含む)と色による呼称といえます。全く関連性のない作品ならば、単に椀形(わんなり:...
切立について切立(きったて)とは円筒形の陶磁器を指します。飲食器である向付や湯呑み、貯蔵用の甕のほか花瓶などによく見られる形です。底から口縁部まで垂直に立ち上がる器形で、胴がまっすぐ伸びたものが切立の基本形です。この画像は絵唐津の向付となります。腰から口縁までまっすぐに切り立った姿です。横からみると長方形で上からみるとほぼ円筒形です。ただ口縁部にややカーブがありますので、もっと角が立てば四方(よほ...
熊川について熊川(こもがい)形とは高麗茶碗の一種である熊川茶碗の形のことです。熊川茶碗にちなんだ呼称ですから、熊川形といえば抹茶椀の形を指すのが一般的です。高麗茶碗は朝鮮半島から渡来したものですが、かつて慶尚南道(けいしょうなんどう・キョンサンナムド)に熊川港という港がありました。この港から出荷された熊川茶碗の形にちなんで、「熊川形」という名称が使われるようになります。では典型的な椀の姿である椀形...
杉形について杉形(すぎなり=椙形)とは背丈が高く、胴から口縁までほぼ真っ直ぐに広がる形を指します。このイメージ図のとおり、杉の木を逆さまにしたような逆三角形が杉形です。左が椀形(わんなり)、右のイメージ図が杉形です。椀形は腰に丸みがあり、ゆるやかな曲線で立ち上がっています。いっぽう杉形は腰に丸みを持つものもありますが、胴から上はほぼ直線的に広がっていきます。杉形は一部の向付のほか、特に飯椀や抹茶碗...
筒形について筒形(つつなり・つつがた)とは胴の部分が筒状になった形のことです。見込みが深いものは「深筒形」、見込みの浅いものを「半筒形」といいます。左側が深筒形で向付にはよくある形だと思います。ちなみに見込みの深い向付を深向(ふかむこう)といいますが、深向を茶碗に見立てたものが伝世品にもあります。右側は半筒形となります。これは黄瀬戸・瀬戸黒や楽茶碗、志野など半筒形の茶椀によく見られる形です。深筒形...
「天目」の由来について天目(てんもく)とは椀の一種で、茶を飲むための天目形の容器を指します。天目形の特徴については後述します。もともと「天目」といえば「天目形の茶碗(容器)」を表わしましたが、現代では茶碗以外にもぐい呑みや汲み出しなど小型の作品もあります。よって茶碗であれば天目茶碗、小型の作品ならば天目ぐい呑み・天目杯などと呼び分けることもあります。そもそも天目の名の由来はどのようなものでしょうか...
筆洗形について筆洗(ひっせん・ふであらい)とは絵具のついた毛筆を洗う器のことです。筆を水ですすいだあと、水を切り穂先を整えるための切込みが入った文房具です。この筆洗を食器の形に取り入れたものが筆洗形のうつわです。主に茶碗や鉢などの飲食器に見られる形で、口縁部に切込みが入っています。左のイメージ図の赤丸部分がその切込みです。この例では切込みは二か所ですね。切込みによって一段低くなった口縁は、もう一方...
平形について平形(ひらなり・ひらがた)とは口縁部が広く、見込みの浅い形を指します。主に抹茶椀に見られる形状で、平形のものを平茶碗といいます。平茶碗は椀というよりはむしろ、鉢や皿に近い形状といえます。左のイメージ図が椀形(わんなり)、右図は平形となります。椀形と比較すると、平形は口縁の幅が広く見込が浅い形状です。腰から口縁部までほぼ直線的な立ち上がりのものが多いです。平形は平茶碗のほか、浅めの鉢や盃...
変形皿について和食器には一風変わった形のうつわがあります。一般的に変形皿(へんけいざら)と呼ばれる一群で、自由奔放な形で一定の決まり事がありません。変形皿の発祥は桃山~江戸初期まで遡ります。当時は千利休や古田織部(ふるたおりべ)が、茶の湯の宗匠だった時代ですね。茶碗や花入・水指・向付に斬新な形が表れてきます。たとえば織部焼に見られる歪んだ沓形(くつがた)、志野茶碗や水指の躍動的な造形、向付では織部...
繭形について繭形(まゆがた・まゆなり)とは、カイコが作る繭のような楕円形を指します。文字通り繭を連想させる器形のほか、一部が楕円形をした茶碗を繭形茶碗と呼ぶこともあります。※繭形茶碗の詳細は後述します。A図では「全体」で繭の形をあらわしていますね。これは古代中国、とりわけ漢代の壺などに見られるユニークな形です。そしてBのイメージ図は一部が繭のような楕円を描いています。こちらは繭形茶碗など、胴から下...
稜花について稜花(りょうか)とは、丸い食器の口縁部に規則的な切込みを入れた形です。円形の皿や鉢によく見られる形状で、大輪の花を連想させる形といえます。切込みによって花弁がいくつも出来るわけですが、その花びらごとに先端を尖らせているのが稜花の特徴です。稜花の「稜」という字は一文字で「角」「尖ったところ」という意味で、稜線などで使われる「稜」からきています。たとえば山の稜線は、山頂部や隣の尾根との境界...
輪形について:雪峰の例輪形(りんなり・りんけい)とは全体が円形になったうつわをいいます。もっぱら茶碗に用いられる呼称で、輪や玉のように円い形の茶碗を指します。輪形の特徴は高台から弧を描いて立ち上がり、さらに口縁部を過ぎて内側に抱え込む形をしています。高台は総じて低い作例が多いと思います。内側に抱え込まれた口縁は「姥口」(うばぐち)といい、作品全体でひとつの球状に見えるほど丸みを帯びています。伝世品...
椀形について椀形(わんなり・わんがた)とは木製の椀の形に由来します。椀形は最もオーソドックスな形であり、飯碗や抹茶碗などによく見られる基本形といえるでしょう。椀:「木」偏。木製のもの碗:「石」偏。陶磁器製のものたとえば木製のお椀が典型的な椀形といえます。腰から胴、口縁部までゆるやかな曲線で立ち上がる形です。これは販売店で目にするご飯茶碗や、一般的な抹茶碗に見られる形状ですね。あたりを見渡せば、ぐい...