杉形 | すぎなり
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杉形 | すぎなり

 

杉形について

杉形(すぎなり=椙形)とは背丈が高く、胴から口縁までほぼ真っ直ぐに広がる形を指します。このイメージ図のとおり、杉の木を逆さまにしたような逆三角形が杉形です。

 

椀形と杉形

左が椀形(わんなり)、右のイメージ図が杉形です。椀形は腰に丸みがあり、ゆるやかな曲線で立ち上がっています。いっぽう杉形は腰に丸みを持つものもありますが、胴から上はほぼ直線的に広がっていきます。

 

杉形は一部の向付のほか、特に飯椀や抹茶碗に見られる形です。たとえば杉形茶碗であれば、茶碗を逆さまにして置くと、杉の木のような形に見えることが名の由来といわれます。

 

茶碗を伏せてハの字になった器形は、見方によってクリスマスツリーのようにも見えますね。

 

イメージ図の通り、杉形には胴のふくらみ(曲線)がほとんどありません。そして底とほぼ同じ大きさの高台も特徴であり、全体を見ると縦方向に細長い印象を受けます。

 

つまり茶碗を上から見れば円形ですが、真横から見ると縦長で、胴から上がほぼ直線的な姿が杉形の特徴といえます。

 

 杉形の例

杉形茶碗の伝世例を挙げるならば、朝鮮半島から渡来した高麗茶碗のほか、江戸時代あたりの国焼茶碗(=国産の茶碗)にも作例があります。

 

たとえば高麗茶碗ならば杉形呉器(すぎなりごき)という一群です。背丈が高く、胴から口縁まで直線的に伸びた器形が特徴的です。これは御本手や伊羅保茶碗の一部にも見られる形状です。

 

また藤田美術館にある「老僧」井戸ではどうでしょうか。全体的に曲線を帯びた大井戸形とは異なり、口縁部までほぼ真っ直ぐに広がっていきます。高台は底とおよそ同サイズのもので、横長の青井戸と比較しても見込みが深く、丈のある形状といえます。

 

国焼茶碗であれば、古萩茶碗の「立田」(山口県立萩美術館・浦上記念館)も杉形の一例だと思います。口縁部が内側にすぼみますが、逆三角形の器形と一か所に切れ目の入った輪高台(底とほぼ同サイズ)が特徴的な作品です。

 

そして仁清の「色絵波に三日月文碗」(東京国立博物館)。これは高台が小ぶりな作例ですが、縦長の器形で胴から口縁までスッと伸びた端正な作行きですね。

 

こうした伝世品に限らず、身近な販売店でも杉形の作例を見ることが出来るでしょう。相対的に背丈が高いもので、胴から口縁まで直線的な作品です。

 

お椀の典型例ともいえる椀形(わんなり)や、背丈の低い平形(ひらなり・ひらがた)と比較してみるのも面白いと思います。実際に手に取って、杉形の個性的な器形と使い勝手を確かめてみるとよいでしょう。

 

 

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