織部釉 | おりべゆう

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織部釉

 

 織部釉について

織部釉(おりべゆう)は酸化焼成で緑に焼きあがる釉薬です。これは灰釉をベースとし、呈色剤として酸化銅を3〜5%加えたものを指します。

  • 調合例:釜戸長石6:土灰3:藁灰1。外割で酸化銅(II)4%
  • 調合例:三河長石4:土灰6。外割で酸化銅(II)4%

ちなみに銅を呈色剤とする釉薬を銅緑釉(どうりょくゆう)と呼びます。銅の種類はいくつかありますが、緑に発色する酸化銅が代表的なものです。

  • 酸化銅(I):赤い粉末状の酸化銅。Cu2O。銅の削りくず「銅へげ」など。
  • 酸化銅(II):黒っぽい粉末状の銅。CuO。一般的に使われている黒色酸化銅。

この他にも、黄瀬戸の胆礬(たんぱん)で使われる硫酸銅、緑青として知られる塩基性炭酸銅があります。上記の黒色酸化銅(CuO)が最も入手しやすいでしょう。

 

さて、17世紀に入ると美濃の元屋敷窯(もとやしきがま)で織部焼が量産されます。そこで織部焼に銅緑釉が多用され、やきものの名前を取って「織部釉」と呼ばれるようになります。

織部釉

織部釉の基本は、長石と草木灰をベースにした灰釉です。そこに酸化銅を加えることで緑に発色します。灰立ての釉薬の中に、緑の銅が流れているのが分かります。

 

緑の濃淡で表情が柔らかくなり、色彩に味わいがありますね。

 

いっぽう石灰石を使った調合では、緑の濃淡が均一で硬めの表情になります。この場合は石灰立ての透明釉に、やはり3〜5%の酸化銅を加えて得られます。

 

なお焼成雰囲気は酸化焼成で「緑」、還元焼成では酸化銅の割合により「黒」〜「赤」の発色になります。後者の赤い発色は辰砂釉(しんしゃゆう)に区分されるため、別ページで取り上げたいと思います。

 

 織部釉の素:灰釉の性質

織部釉はほぼ透明に近い灰釉をベースにしています。したがって灰釉の性質を知ることで、織部釉の特徴がよく分かります。

  • 流れやすさ…釉薬の濃淡を生み出し、多様な表情ができる。
  • 不純物が豊富…微量な不純物のおかげで、色彩の奥行が増す。

まず平坦なところは織部釉が流れ、幾筋かの条痕状になります。そして凹んだ部分には釉がたまって濃い緑色になります。緑の濃淡と筋状の流れが美しい景色になります。

 

次に不純物の一例としては、天然の草木灰に含まれる「鉄分」がまず挙げられます。これは全体の約1〜3%未満の場合がほとんどです。

 

この鉄分のおかげで、酸化焼成であれば淡黄色、還元焼成ならばうっすらと青色になります。こうした灰釉に酸化銅の緑が加わることで、釉薬全体に色彩の深みが与えられます。

 

さらに天然の草木灰には上記の鉄分のほか、リン酸カルシウムや酸化マグネシウムなど、多種類の不純物を含みます。こうした天然の不純物によって釉薬は温かみのある表情になります。

 

こうした天然灰の性質によって、織部釉は美しさと色の深みを増していくのです。

 

 織部釉の「白い部分」

さて緑の織部釉の中に、部分的に白〜青色が見られる場合があります。

  • 意図的:織部釉の一部に、藁灰釉など乳濁釉を筆置きする。または乳濁剤(骨灰やマグネサイトなど)を筆置き。
  • 意図せず:釉が厚いところの一部が乳濁して白〜青く発色する。酸化銅(I)によくみられる。

織部釉は緑一色ですから、ある意味アクが強い釉薬ともいえます。織部釉で塗りつぶした総織部(そうおりべ)を除き、多くの作例は部分的に織部釉を配しています。

 

たとえば部分的に織部釉、それ以外の余白には鉄絵など。こうした部分的な織部釉の、そのまた一部分に白〜青の淀みが生まれます。

 

この乳濁した箇所が一つのアクセントとして活きてきます。余白の装飾と織部釉、そして白〜青のポイント。それぞれ色彩の変化を楽しむことができるでしょう。

 

 

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