黄瀬戸釉 | きぜとゆう

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黄瀬戸釉

 

 黄瀬戸釉について

黄瀬戸釉(きぜとゆう)とは灰釉をベースにした黄色の釉薬です。調合の一例を挙げるならば、

  • 釜戸長石6:土灰4。外割で鬼板を3%
  • 釜戸長石4:土灰6。外割で黄土10%

淡黄色の発色は木灰に含まれる微量な鉄分(=1〜3%の酸化第二鉄)によるものです。ただし木灰といっても、含まれる鉄分量は種類によって異なります。

 

たとえば鉄分をほぼ含まないイスの木は、灰にする皮の部分に0.3〜0.5%の鉄分しかありません。

 

これに対して雑木の灰である土灰には、2〜3%以上の鉄分を含むものも珍しくありません。このように材料となる木灰によって鉄分量が変わってきます。

 

長石と灰だけで黄色の発色が弱い(透明釉に近い)場合、調合例のように鬼板や黄土など含鉄土石を加えます。

 

なお黄土を1〜2割加えると、艶消し状のマットになります。酸化第二鉄の割合は釉中に1〜3%未満が適切です。それを超えると褐色になっていきます。

 

そして焼成は「酸化焼成」が必要条件です。適正な鉄分量と焼成条件により、美しい淡黄色の釉が得られるでしょう。

黄瀬戸釉

これは長石に木灰を混ぜて作られた灰立ての黄瀬戸釉です。貫入や釉だまりの艶など、透明の灰釉と釉調がとても似ています。

 

そこに鉄分による黄色の発色が加わったのが黄瀬戸釉です。繰り返しますが「微量鉄分+酸化焼成」が条件です。

 

ちなみに還元雰囲気で焼かれた場合、釉中の鉄分は薄緑から青く発色します。これは青磁釉に含まれる微量鉄分が、還元焼成で青く発色するのと同じ仕組みです。

 

 油揚手と柚子肌とは?

さて、黄瀬戸釉の中でも黄色味が強く、表面に小さな凹凸を持つ作品があります。

黄瀬戸_油揚手と柚子肌

  • 油揚手(あぶらあげで):黄色味が濃く油揚げのような釉調のこと。失透気味でツヤが少ない。菖蒲手(あやめで)とも呼ばれる。
  • 柚子肌:柚子の実のような小さな凹凸のこと。釉の表面に独特の質感をもたらし、奥行きのある肌合いになる。

油揚手と柚子肌は黄瀬戸釉の中でも格調高い釉調とされます。どちらも珍重され、賞玩の対象となった歴史があります。

 

そして器面の「焦げ」も大切なポイントです。黄瀬戸釉は灰釉がベースなので、釉自体は流れやすく薄がけの作例が多いです。したがって釉が薄い部分に出来る焦げ、もしくは胎土から噴き出た鉄分が黒くなった箇所が見られます。

 

こうした油揚手と柚子肌、侘びた器面の焦げの組合せは、黄瀬戸釉の大切な景色とまとめられます。

 

 参考:黄瀬戸釉と相性の良い装飾

上記の画像を見ると、彫模様のところに「緑」と「黒」の装飾がありますね。それぞれ緑のものを胆礬(たんぱん)、黒いものを鉄彩(てつさい・てっさい)といいます。

 

釉薬の調合と関係ありませんが、黄瀬戸釉と胆礬・鉄彩の組合せは非常によく見られます。

  • 胆礬:硫酸銅(もしくは酸化銅)による加飾。酸化焼成で緑に発色する
  • 鉄彩:酸化鉄による加飾(=鉄絵)。酸化・還元ともに黒く発色する。

なお胆礬が反対側まで突き抜けて発色するのを「抜け胆礬」と呼びます。これは銅の揮発性によるもので、場合によっては窯詰した他の作品に着色する事もあります。

 

胆礬と鉄彩は淡黄色の黄瀬戸釉と色彩がよく合いますね。釉の特徴と相性の良い装飾など、鑑賞や作陶の参考になれば幸いです。

 

 

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