シャトル窯(台車窯)
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シャトル窯(台車窯)

 

 シャトル窯(台車窯) 現代:倒炎式ほか

シャトル窯は移動式の台車を備えています。燃料はガスや灯油・重油を使うもののほか電気窯もあります。最大の特徴はその台車のおかげで窯詰が簡単にできる点にあります。

 

従来の穴窯や登窯は内部に棚板を設置してその中で窯詰め作業を行います。傾斜があるため棚を平行に配置するには、坂の途中に段差を設けて水平な地面を確保しなければなりません。そのため平行な地面はできても作品の設置スペースとしては狭いものになります。

 

それに対してシャトル窯の形自体は「角窯(かくがま)」に類似しているものが多いといえます。穴窯や登窯のような傾斜も必要とせず、台車の出し入れに必要なスペースがあれば成り立ちます。

 

シャトル窯(台車窯)

 

まず外に台車を引き出して棚に作品を詰めて窯に収納します。図の例では燃料がガスか灯油のパターンになります。2か所にバーナーがついていると想定して、窯の火は地下の排煙口を通って煙突から排出されます。

 

台車を収納してから火を入れ、焼成後は再度台車を引き出して作品を検品します。こうした窯詰と窯出しを窯の外で行えるので、空間的に広いスペースが取れるうえ視認性もよいため作業環境は非常に良好といえるでしょう。

 

なお作業環境が良いだけではなく、焼成効率も良いといえます。たとえば台車を複数用意しておけばどうでしょうか?

 

 焼成時間の短縮化

たとえば作業場に3つの台車があるとします。作品は3つの台車すべてに詰めるほど量があったとしましょう。

 

全ての台車に作品を乗せて用意しておけば、焼成が終わったら次の台車を入れて継続的に作業することが可能になります。もちろん窯の冷却時間は必要ですが、窯の外で積み下ろしができるため、完全に窯が冷えるのを待つ必要はありません。

 

こうすることで次の焼成は「余熱時間」が短縮されることになります。時間の節約だけではなく「燃料の消費」も時間短縮の分おさえることができます。

 

注意点としては、可動式なので作品の搬出入時に安全確認を要する点と、稼動部のメンテンスはこまめに行う必要はありそうです。というのも棚が一体式のためレールの破損や台車の横転など全ての作品が影響を受けるためです。

 

現在シャトル窯は個人の陶芸窯から業務用の大型のものまで作られています。作品の焼きあがりについては燃料がガス・灯油・重油、または電気窯など多様化しているので、それぞれの特徴に準じます。

 

あくまでもシャトル窯の区分は燃料や焼き味ではなくその「構造」にあります。作業環境・焼成効率が良く、量産する場合にも非常に優れた構造といえます。

 

 

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