うつわを使う/修理する
スポンサード リンク

うつわの使い方と修理方法について

使いはじめに

作品を手に取って接地面にザラつきや凹凸がないか再度確認します。もし引っかかる感触があれば敷物や机を傷めないよう目の細かいサンドペーパーで磨きます。この画像のように角材にペーパーを巻き付けると余計な所を傷つけず磨きやすいです。あくまでもザラつきを取るのが目的なので400番以上の細かいペーパーが良いでしょう。問題ない部分を傷めないよう丁寧に磨きます。 使いはじめは水次に吸水性のあるうつわは必ず水を含ま...

続きを読む
dummy
日々のお手入れ

洗いとすすぎまず中性洗剤を薄めて洗います。スポンジで泡立てながら丁寧に洗います。ザラついた器肌のものは泡と手でなでるようにして洗います。洗剤はいいの?と思うかもしれませんが十分にすすいでもらえれば大丈夫です。すすぎが不十分だと残念なにおいが残るものも出てきます。私の手持ちでは萩焼など軟質で吸水性の高い陶器にその傾向があります。洗いよりもすすぎに重点をおきます。温かめのお湯で流すと汚れがよく取れます...

続きを読む
陶磁器の煮沸は必要?

陶磁器を米のとぎ汁で煮ると新品で陶磁器を買うと取扱説明書がついてくることがあります。その中に「米のとぎ汁で煮沸してください」とありますが必須事項でしょうか。結論からいえば煮沸は必要ないと考えます。では実際に作品を煮ると何が起こるのか、煮沸がいらない理由について述べたいと思います。水が沸騰する温度:100℃とぎ汁の成分:ヌカ(でんぷんを含む)吸水性があればそのうつわがでんぷんを吸収します。この時点で...

続きを読む
陶磁器の除菌と脱臭

表面の汚れについて陶磁器は吸水性があることで汚れや臭いがつくことがあります。特に多孔質の陶器にはその傾向があります。釉薬がある場合はガラス質によって吸水性はありません。しかし釉薬上の貫入から水が入って胎土に水が染み込みます。乾燥が十分であれば問題ありませんが、乾燥が不十分な状態で長期保管するとカビや臭いがつきます。箱から取り出した途端、表面の異変に気づきます。水で洗っても黒ずんだ部分や臭いが取れな...

続きを読む
dummy
陶磁器に電子レンジは使わないで下さい

ワンタッチで加熱できる電子レンジは便利な反面、陶磁器にダメージを与えます。レンジ対応の陶磁器もありますが、熱耐性が高いだけで厳密にいえば熱の影響をしっかり受けています。 電子レンジの仕組み電子レンジはマイクロ波という電磁波を使って加熱しています。マイクロ波を浴びた物質はそのエネルギーにより温度が上がります。たとえば食品に含まれる水分が代表的なもので、水の分子が振動することで温度が上がります。つまり...

続きを読む
割れてしまったら

思いがけず大切なうつわを割ってしまうことがあります。大事に使っていたものであれば、壊れても使い続けたいものです。それは長年使い続けるうちに思い出が詰まってくるからです。以前、大切に使っていた湯呑みを割ってしまいました。唐津の量販店で手にした斑唐津の湯呑みです。買った当時のことは勿論、日々の思い出もありますし、修繕して使い続けることにしました。その時お世話になった金継ぎ(きんつぎ)を紹介します。これ...

続きを読む
銀継ぎの手順1:室(ムロ)と麦漆

室(ムロ)と麦漆についてこのページは銀継ぎの最初の工程になります。破損したうつわを接着して乾燥させるまでの工程です。実際に漆を使って接着した後、乾燥で約10日間かかることを想定しています。室(以下ムロ)とは漆を乾燥させる容器の事です。漆は大気中の水分を吸って乾燥する性質があります。また、温度も大切な要素で高温多湿ならば早く乾燥しますが、接着がもろくなる危険性が高くなります。したがって適切な温度・湿...

続きを読む
銀継ぎの手順2:中塗りと中砥ぎ

銀継ぎの手順2:中塗りと中砥ぎ本工程は中塗りと中砥ぎに関するページです。接着と乾燥が終わったうつわをムロから取り出して行なう作業です。 はみ出した汚れを落とす乾燥後のうつわをムロから取り出して汚れを取り除きます。接着部分にははみ出した漆が固まっていますので、これを小刀とコーキング用のヘラで落としていきます。刃を立てると器を傷つけますので、刃を寝かせて漆をそぎ取ることだけを考えます。細かい汚れはサン...

続きを読む
銀継ぎの手順3:絵漆と銀撒き

銀継ぎの手順3:絵漆と銀撒きここでは接着部の面をきれいに整えたうつわに、絵漆を塗って銀(または金)粉をまく工程です。つまりこの工程で外観がおよそ決まってしまう大切な作業となります。左から黒呂色の面を磨いたうつわ、絵漆(ベンガラ入り)、蒔絵筆、銀(丸粉・1号)、真綿(まわた)となります。絵漆を塗った上に銀粉をまいて乾燥させます。絵漆とは蒔絵用のもので生漆にベンガラを混ぜたものです。ベンガラの赤みがさ...

続きを読む
銀継ぎの手順4:粉固め

銀継ぎの手順4:粉固め本工程は銀粉をつけて乾燥させたうつわの粉を、漆でしっかりと定着させる「粉固め」の工程です。ここでの作業ボリュームは全くありません。ムロに入れて1~2日乾燥させる工程があるので、粉固めから乾燥までの説明となります。 粉固めで必要なもの左から銀粉を施したうつわ、蒔絵筆、上ずり漆、銀をはらう筆(もしくは刷毛)、プラスチック製の下敷です。 1.上ずり漆を塗るまずは余分な銀粉を筆で払い...

続きを読む
銀継ぎの手順5:磨き(完)

銀継ぎの手順5:磨き本工程の磨きで完了です!ここでは銀粉(または金粉)が固まった部分を丁寧に磨き上げる作業を行います。用意するものは左からうつわ、植物油、コットン、砥の粉、石粉、プラスチック製の下敷です。私は植物油を使いましたが本来は種油が望ましいです。なお砥の粉と油を混ぜるヘラが必要です。 1.砥の粉で胴摺り(どうずり)をする植物油と砥の粉を1:1でよく混ぜます。粒が粗いと磨きすぎてしまうので、...

続きを読む
見立ての面白さ

見立てとは見立てとはあるものを別の用途で使うことをいいます。ただし「こんな用途で使ったら面白そう!」とか「美しいだろうなぁ」といった考え方です。茶杓が見つからない私が指で抹茶をつまむとします。これはただの代用で面白くも美しくもありません。突然ですが「身近なもので花入になるものはありますか?」といわれたらどうでしょうか。あたりを見回すと花が挿せそうなものがいくらでもあります。たとえば筒状のカップや小...

続きを読む