銀継ぎの手順2:中塗りと中砥ぎ
銀継ぎの手順2:中塗りと中砥ぎ
本工程は中塗りと中砥ぎに関するページです。接着と乾燥が終わったうつわをムロから取り出して行なう作業です。
はみ出した汚れを落とす
乾燥後のうつわをムロから取り出して汚れを取り除きます。接着部分にははみ出した漆が固まっていますので、これを小刀とコーキング用のヘラで落としていきます。
刃を立てると器を傷つけますので、刃を寝かせて漆をそぎ取ることだけを考えます。細かい汚れはサンドペーパーできれいに落ちますので、まずは大きな漆のかたまりから落としていきます。細かい汚れは400番以上のサンドペーパーを使って力を加減しながら磨きます。接着面に無理な力がかからないよう、割目をなぞるように磨くとより安心です。少し磨いてから表面を見ると漆の汚れが落ちているのを確認できるはずです。
1.中塗りと乾燥
中塗りはより美しく仕上げるために行います。接着部のはみ出した下地漆をけずっているため、ペーパーで磨いた面も実際には凹凸ができています。この工程を省くとその凹凸が残ってしまうため仕上がりに差が出てきます。
左から磨いたうつわ、塗り漆(ここでは黒呂色:くろろいろ)、蒔絵筆(極細タイプ)、テレピン油です。うつわは汚れもしっかり落ちて、接着部には漆の茶色が残っています。塗りは他のうつわにも使える無難な黒色の「黒呂色」を使います。赤・透明の塗り漆もあるので、筆も併せて販売店に相談すれば適切なアドバイスをもらえるはずです。テレピン油は汚してしまった時のために念のため用意します。
蒔絵筆で黒呂色を塗っていきます。できるだけ細く塗ることも大切ですが薄く塗ることが最も大切です。厚く塗ると漆の乾きも遅くなるうえ、削ればまた凹凸ができるので中塗りの意味がありません。またサンドペーパーは1000番以上の細かいものを使うため、削りに時間がかかります。中塗りが終わったらムロにいれて1~2日間乾燥させます。
2.中砥ぎ
完全に漆が乾いたのを確認して中砥ぎをはじめます。必要なものは1000番以上の目の細かいサンドペーパーだけです。
表面を削っていくうちに、中の漆が乾燥できてない場合はすぐ中断してムロに入れなおします。問題ないようならば砥ぎを進めます。ここでは漆の表面を平らにすることに重点を置いて磨きます。サンドペーパーの目が細かくより安全なのでしっかり磨きます。この工程で接着面が平らになり、絵漆と銀粉がきれいに乗る下地が整います。