鎬(しのぎ)の技法

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鎬の技法

 

 鎬文について

鎬文(しのぎもん)とはヘラなどの工具で削ってできる稜線文様のことです。稜線(りょうせん)とは山でいえば山頂部のとがった部分を指します。つまり鎬の技法とは作品を削って鎬文(稜線)をつける装飾方法です。

 

鎬文の由来は日本刀の鎬からきています。日本刀同士が勢いよくぶつかると鎬が削れるため、激しく戦う様子を「鎬を削る」と表現しますね。左図が刀を寝かせた状態、右は断面図、赤いところが鎬となります。

 

日本刀の鎬とは

 

イメージ図のとおり、鎬とは山頂部にあたる高くなったところを指します。陶芸作品に鎬を施す場合は、ヘラで均等な幅を保ちながら削っていきます。すると削った部分の隙間に高さが出ます。

 

鎬の陶芸技法例

この赤い点線部が鎬文になります。このように削るだけでも鎬文になりますし、削ったあとに指や工具で手直しして高さを出す場合もあります。たとえば青磁に見られる鎬蓮弁文(しのぎれんべんもん)が好例で、蓮の花びらの中心には高い稜線が出ています。削ったあとキレイに整えているものと推測します。

 

できるだけ均等に削っても、間隔によって稜線の高さが揃わないこともあります。その場合は指でつまんで高さを出したり、逆に指で潰すか削って高さを揃えます。最終的に鎬文が▲の形になるよう削りと手直しをしていきます。

 

この作例は志野釉で厚みがありますが、釉の薄くなった部分は素地土の鉄分による緋色が見てとれます。表面に凹凸ができるわけですから、釉薬の濃淡による釉調の変化も出てきます。

 

 鎬の技法

鎬文の要件としてはできるだけ均等な幅で削ること、そして稜線をしっかり出すことです。つまり稜線を際立たせるには、せまい間隔で均等に削ることが肝要になってきます。

 

では削りの幅が広いとどうなるでしょうか?仮に横幅10cmの皿に対して、幅1mmの縦線が5本入っているとしましょう。線と線の間隔は均等でも、これでは▲の稜線はできませんね。鎬というよりはただの線彫りということになります。

 

裏面を見るとまさにその状態です。線と線の間隔が広いため稜線が形成されていません。表面は太く削ることで鎬の高さを出している一方、裏面は細く削ることで境目を低くしています。表裏の削りを合わせることで花びらを表現しています。

刻花の例

鎬の技法では冒頭の画像にある、赤い点線部のような模様を作ります。一筋の削りを入れたら、その横ギリギリに削りを入れます。これを均等に繰り返すと連続模様になり、▲の形をした稜線が並びます。等間隔で削った結果、鋭い稜線が入った鎬文が出来あがるのです。

 

さて、使うヘラ先は楕円形の削りベラがよいです。先が直角の削りベラでは稜線が■の形になってしまいますね。画像の削り跡からも分かる通り、先が楕円形になっているヘラが稜線を出しやすいです。

 

成形した作品が乾燥したら削りベラで鎬を入れていきます。土の水分量は少ない方が稜線がはっきり出ます。というのも削る幅が狭いため、粘土が柔らかいと土が動いて境界が出にくいからです。これは後で必要に応じて手直しするとよいでしょう。

 

なお稜線の頂点を尖らせれば、当然釉薬が流れて薄くなりやすいです。ただし頂点を平らに慣らしても多少の釉流れは必ず起きるので、むしろ削りの深さを意識すると良いです。釉だまりの濃淡を出したければ深く削り、稜線は高さを出します。これは意図する作品像と釉薬によって決めることになります。

 

そして削りの線は直線であれば削りの勢いと統一感が出ます。また曲線であれば連続した曲線、もしくは二筋の彫で一つの稜線を際立たせたものが美しいと思います。鎬は広く用いられる陶芸技法であり、様々な作例を目にすることができるでしょう。

 

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