彩釉磁器と三代徳田八十吉

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彩釉磁器と三代徳田八十吉

 

 彩釉磁器と九谷の地

彩釉磁器とは本焼きした磁器に複数の釉薬を中火度で焼きつける技法です。一般的な上絵が500〜800℃程度の低火度焼成なのに対し、彩釉磁器の焼き付けは1,040℃という中火度で行われます。

 

この技法を行ったのは三代 徳田八十吉(とくだ やそきち1933年〜2009年)です。

 

氏は石川県の窯元の家系に生まれます。祖父にあたる初代八十吉は古九谷(こくたに)様式の技法に秀でた名工で、浅倉五十吉(あさくらいそきち)の師としても知られます。自分が開発した色釉を深厚釉(しんこうゆう)と名付け代々継承させます。

 

父である二代八十吉は国立陶磁器試験所で富本憲吉(とみもと けんきち)の指導を受けます。色絵の洒脱さが特徴で従来の久谷様式を引き継ぎながらも、斬新な絵付けが魅力です。

 

こうした初代から伝わる豊かな色釉と、久谷の地という色絵のメッカで「彩釉磁器」の技法が確立されます。

 

 三代徳田八十吉の技法

色は古九谷の色絵技法のひとつ「青手」(あおで)をベースに構成しています。すなわち色の基本は青(紺)・緑・黄色など青系統の古九谷様式であり、五彩手(ごさいで)に見られる「赤」は用いていません。

 

氏の作品は白い磁胎に青・紫・緑・黄色を基調としてそれぞれの中間色を配置しています。その結果、色と色をつなぐグラデーションが美しく、日本古来の久谷様式というより、現代の色彩豊かな抽象陶磁といったほうがふさわしいと思います。

 

その作品全体を色釉で彩り、こまやかな濃淡・グラデーションをあらわしています。従来の久谷が「色絵とその意匠」に個性をあらわしているのに対し、徳田氏の作品は九谷の色釉を用いながら「色」そのものを主軸にしています。耀彩(ようさい)と呼ばれる作品群がそれに当たります。

 

つまり「絵」ではなく「色」そのものに主眼を置いているわけです。花や鳥・文様など輪郭を持った具体的な「絵」から、「色」だけを用いた抽象的なモチーフを表現しているといえます。

 

氏は海外での活動や日本伝統工芸展をはじめ多くの受賞を重ねます。そして1997年には国の重要無形文化財「彩釉磁器」の保持者に認定されました。

 

徳田氏の作品は従来の九谷焼を模範としながらも、色の追求という点で造形も色彩も現代的な作風といえます。

 

したがって昔ながらの古九谷が好きな人々からは、「これぞ久谷焼」という賛同を得るのは難しいかもしれません。しかし伝統的な九谷の色釉を使った氏の作品は、久谷焼きの色彩の無限性を物語っています。

 

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