櫛描きの技法

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櫛描きの技法

 

 櫛描き文について

櫛描き(くしがき)とは櫛型の道具を使って装飾する技法です。日本では古いもので弥生土器に櫛描き文があります。

 

そして古墳時代の須恵器に見られるほか、中世では瀬戸・常滑・備前・信楽・丹波・越前などの中世六古窯、そして珠洲窯(すずよう)など古窯の伝世品にも櫛描き装飾があります。

 

また「猫掻き手」(ねこがきで)と呼ばれる、器面の引っかき模様も櫛描きによるものです。これは高麗茶碗の一種である金海茶碗(きんかいちゃわん)や、室町時代の茶人である村田珠光(むらた しゅこう 1423年〜1502年)が好んだ珠光青磁(南宋時代の粗製青磁)などの器面に見られます。猫が引っかいたような櫛描き文が特徴です。

 

そして現代においても櫛描きは盛んに用いられる技法です。櫛目の深さや形状によって、釉調の変化や釉だまりができる効果的な装飾となります。この例では櫛描きのところに素地土の鉄分が一部あらわれています。

櫛描きの例

櫛描きの文様は直線的なものをはじめ、曲線や波打ったもの、斜めの格子状、丸型や扇状など多岐にわたる装飾が見られます。ロクロで回しながら施す場合は横方向の線や波打った文様、フリーハンドで描く場合は多方向への直線や格子状・曲線を帯びた櫛目が多いです。

 

ロクロで模様を描くさいは、作品の水分ががやや飛んだ状態がやりやすいです。水気が多いと削り落ちる土より、櫛に絡みつく粘土が多くて作業しづらいです。あとは器面に力をかけるため、作品が変形することもあるからです。

 

ロクロを使わない場合は変形しないよう加減しやすいです。椀形の作品であれば表面を削り、裏面に指を添えてやるとよいでしょう。もちろん土が乾いてからする場合もありますが、土が柔らかい時に櫛目を入れる方が彫りの深さと線の勢いが出ます。

 

フリーハンドで描き始める目安は、湯呑みなど小さな作品で成形後5〜10分ほどでしょう。ロクロを使うならば30分ほどして表面の水分が軽く飛んでからにします。

 

いずれにせよ土が固まるにつれて深く生き生きとした線になりづらいです。これは櫛描きに限らず、器面の装飾技法に共通する事といえるでしょう。もし乾燥が進んだらスポンジで作品に加水し、濡れタオルで2〜30分くるんでおくとまた削りやすくなります。

 

 櫛描きの技法

成形して時間をおかずに櫛描きをする場合、線はきれいに出ますが土が柔らかい点に注意します。たとえば湯呑みを作るとしましょう。ロクロを回しながら櫛描きする場合、腰回りは成形直後でもさほど問題ありません。

 

しかし胴から口縁部は櫛描きするには柔らかく変形しやすいです。よって乾くまでしばらく待つか、ロクロをゆっくり回して口縁か内側に指を添えるとよいです。

 

皿を作るにしても同様のことが言えます。見込は土が締まりやすいのでよいのですが、皿の縁に櫛描きする場合は外側に手を当てないと歪みやすいです。また壺ならば肩や腰は大丈夫でも、外側からの力に対して胴がもろかったりします。つまり不安定な箇所に指を添え、ロクロをゆっくり回して作業します

 

使用する櫛は木製のものが一般的で安価です。歯は細いものから荒いものまで販売店で一通り揃えられます。もし市販のもので小さいサイズが無い場合、櫛目の幅に合わせて割ったものが使いやすいです。

陶芸用の木櫛

櫛の歯先はより尖ったものが使いやすく、土離れがよければどんな素材でも問題ありません。歯先が横一直線に並んだものが一般的ですが、先を丸く揃えたものや斜めに揃えた櫛もあります。これらは櫛の角度を変えれば、途中から線の本数を変えられますね。

 

櫛描は櫛で粘土を削り落とすわけですから、対比を楽しむ化粧土と相性が良いです。たとえば黒い胎土に白化粧をしたとします。そこに櫛描きをすれば黒い胎土があらわれてきます。小鹿田焼(おんたやき)や小石原焼(こいしわらやき)によく見られる装飾です。

 

これは白い表面と黒の櫛描きが対照的な一例です。冒頭の画像とは異なり、はっきりとした装飾になります。

 

その他にも刷毛目(はけめ)に櫛描き、櫛描きの跡に象嵌(ぞうがん)、やわらかな線の指描き・シャープな線の釘彫りとの組合せなど多くの作例があります。さらに作品の形状、釉薬の種類によって多様な表現が可能な技法のひとつといえます。

 

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