瀬戸黒の技法

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瀬戸黒の技法

 

 瀬戸黒とは

瀬戸黒(せとぐろ)は安土桃山時代に美濃で焼かれた施釉陶器の一種です。古い文献には「瀬戸から来た黒い茶碗」という表記がされていますが、当時は瀬戸・美濃を区別せず「瀬戸」と呼んでいました。

 

瀬戸黒はその黒色が特徴であり、桃山時代では茶碗だけが作られたといわれます。釉薬は鉄分を含んだ鉄釉をかけたものです。黒の発色から鉄釉の鉄分はおよそ10%前後と推察します。これを高温で焼いている状態で窯の外に取り出し、急冷させる技法を「引き出し黒」といいます。

 

 瀬戸黒の器形

形の特徴としては端正な円筒型から、口縁の形に動きがあるものがあります。口縁部のゆるやかな起伏は「山道」(やまみち)、もしくは「五山」とも呼ばれます。作品の口作りに凹凸がある場合に使う表現で、たとえば志野・織部や楽茶碗にもこうした「山道」が見受けられます。

口縁の山道

山道の一例(画像は別の焼き締め作品)。なだらかな山間道を連想させる起伏

 

また、瀬戸黒の中でも器形が極端に歪んだ形ならば織部黒(おりべぐろ)、黒をベースとしながらも、一部に白窓を設けて絵付けをするものは黒織部(くろおりべ)と区別しています。これら織部の黒色も鉄釉と引き出し黒の技法を用います。

 

桃山期とされる瀬戸黒の高台をみると、高台脇まで施釉した初期型、その後は腰あたりまで施釉して広く土見せ(つちみせ:釉薬をかけないこと)になった作品が多く見うけられます。いずれにせよ高台が露胎(ろたい=土見せ)の状態であることが要件です。

 

初期型はロクロによる削り出し高台がほとんどですが、その後の作品には後から本体に別付けする「付高台」(つけこうだい)も見られます。付高台は後付できるので形も実にさまざまで各作品の個性となっています。

 

なお高台回りの施釉は多角形に塗られたもののほか、角張った形・丸みを帯びた形・両方併せ持ったもの・扇状などランダムに筆塗りされていて、こうした施釉の輪郭線もひとつの見どころです。高台は総じて低く、土は白っぽい色に焼きあがるものが多いといえます。

 

 引き出し黒について

鉄釉が熔ける高温帯、およそ1,200℃前後の状態の茶碗を外に取り出します。これを水に浸けて急冷すると、釉薬に含まれる鉄分が黒く発色します。これを引き出し黒といい瀬戸黒のほか、黒楽・織部黒・黒織部などに使われる技法です。

 

引き出さずに窯の中で徐冷した場合、鉄釉の発色は茶色から褐色になります。織部黒・黒織部の中には、黒色の中に茶や褐色が混ざっているケースがあります。これは急冷をせずに窯の中で徐冷したための発色と考えます。引き出し黒の特徴を考えれば、黒系の織部や黒楽、現代の瀬戸黒作品についての見どころ・理解が深まると思います。

 

鉄釉を急冷した場合の黒は艶(ツヤ)を帯びて、急激な温度変化によって茶碗の表面には貫入がたくさん生じます。瀬戸黒の釉調は艶のある黒色と、器面を走る細かい貫入がひとつの特徴といえるでしょう。

 

さて、水に浸ける場合は火鋏(ひばさみ)で茶碗をつまみ、口縁部など薄いところから一気に水に浸けています。その理由は薄い部分の方が熱が下がりやすく、熱が下がればその状態で安定するからです。

 

高台回りなど土の厚い部分は、水に浸けてから内部の熱が下がるまでやや時間を要します。したがって厚い部分から浸けると熱が下がって安定するまで、薄い部分より時間がかかります。

 

高台から濡らすと、最悪の場合破損するおそれもありますので、薄い(=熱が下がって短時間で安定しやすい)部分から水に浸けるわけです。また一気に水に浸ける理由は、ゆっくり浸けていくとその部分だけ温度変化が生じるため、やはり破損の原因となるからです。

 

瀬戸黒の技法をまとめますと、土は白色系粘土で鉄釉と引き出し黒を施した黒陶となります。作りは口縁部に山道を持つものもあり、ボディにはヘラで面取り(平らに削って複数の面を持たせること)をしたものもあります。

 

低めの高台と土見せが特徴であり、現代作家では荒川豊蔵(あらかわ とよぞう)や加藤孝造(かとう こうぞう)の作品が代表的なものといえるでしょう。

 

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