蝋抜き | ロウ抜きの技法

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蝋抜き | ロウ抜きの技法

 

 蝋抜きについて

蝋抜き(ろうぬき)とは熔かしたロウソクを塗って、抜き模様を施す技法です。ロウが化粧土や釉をはじくため、ロウを塗った部分が抜き模様になります。つまり蝋燭が「マスキングの役割」を果たすわけです。

 

たとえば素焼きした白土に蝋抜きをするとしましょう。真っ白な素地に熔かしたロウで「○」印を書くとします。そこに黒釉をかけて焼くとどうなるでしょうか?

 

ロウが黒釉をはじくので「○」印のところには釉薬がつきません。その結果、真っ黒の作品の中に白い「○」印が残るわけです。ロウは焼くと完全になくなりますので、蝋抜きはこうした抜き文様を作るさいに有効な技法といえます。

蝋抜き窓絵の例

この作品は中央に白い抜き模様がありますね。装飾全体の説明は割愛させていただき、白い抜き模様に焦点を当てましょう。

 

まず粘土を成形したら●模様に白化粧をかけます。そして化粧土が乾いたら熔けたロウを塗って素焼きします。するとロウを塗ったところが白く残りますので、透明釉をかけて本焼きします。最後は真っ白な余白に上絵で赤・緑・黄で絵付して低温で焼きつけています。

 

つまり蝋抜き以外のところは自由に装飾できることになります。仮に作品全体を釉薬に浸けても●模様は釉薬を弾きます。またロクロを回しながら刷毛で模様を描いても●の箇所だけは無地になります。蝋抜きのところは気にせず加彩できる点が非常に便利です。

 

 蝋抜きの方法

ロウ(固形のパラフィン)を用意して白灯油(一号灯油)と混ぜて作ります。灯油は鮮度の良い無色透明のものを使います。長いあいだ空気に触れると、劣化して黄色味がかってきますので古い灯油は使えません。

 

蝋と白灯油の湯煎方法

また灯油を直接火にかける事は出来ませんので、ロウ6:白灯油4の割合で湯煎する方法が一般的です。空き缶にロウ・白灯油を混ぜ、鍋に水を張って弱火で湯煎します。完全に熔けたら筆で再度よく混ぜて使います。筆は傷みますので蝋抜き専用の筆を用意しましょう。

 

白灯油が多いと筆の書き心地はよいのですが、釉・化粧土をうまく弾かないこともあります。確実なテスト方法は作陶する土でテストピースを作って、実際にロウ塗りして焼いてみるしかないです。弾きが甘ければ灯油の割合を減らして調整します。

 

湯煎する方法は面倒ですが、使う分量だけ作れるので無駄がありません。ちなみに水をはじく撥水剤であるスペーターは、固形パラフィンの粉末と白灯油を混ぜたもので常温で使えます(低温では固まります!)。ただし灯油の劣化の問題があるので、手間はかかりますが都度湯煎する方法がよいと考えます。

 

 蝋抜きの代替技法:ゴム抜き

蝋抜きは便利な装飾技法ですが、強いて言えば一点問題があります。それはロウを焼き飛ばす工程が入ることです。たとえば白い土に鉄絵を描いたとしましょう。その周りをいったん蝋抜きすると、その箇所に手を加えたい時に不便です。

 

削れば素地に影響が出ますし、ロウが少しでも残れば加飾したとしても弾かれます。完全に取り除くためには、素焼きしてロウを焼き飛ばす手間がかかりますよね。その点を解決できるのがゴム抜きの技法です。

 

ゴム抜きは陶芸用の液状ゴムを使います。冒頭でロウがマスキングの役目を果たすと述べましたが、ゴム抜きは剥がすのが容易なのでマスキングテープ感覚で使えます。液状ゴムは乾くと薄い膜状になるため、手直しするさいに剥がせて便利です。ただ、筆は傷みますので蝋抜き同様に専用の筆を用意します。

 

さて蝋抜き・ゴム抜きによって、抜き模様、描画、釉の掛け分けなど装飾の幅が広がります。また、作品を鑑賞する際にも蝋抜きの技法が分かれば複雑な装飾も合点のいくことがよくあります。はじめて蝋抜きを試す方々、改めて作品鑑賞するさいの参考になれば幸いです。

 

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