楽窯(黒楽と赤楽の窯)

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楽窯(黒楽・赤楽の窯)

 

 楽窯 安土桃山時代〜現代:昇炎式

楽窯(らくがま)は桃山時代以降に作られた単室窯です。焼成スペースが狭く一品ものの楽を焼くための窯です。楽は千利休の監修のもと、瓦師の長次郎(ちょうじろう:生没年不詳)によって焼かれた茶の湯の陶器です。

 

長次郎(朝次郎との表記もある)を初代とする楽家は、現代まで400年以上も楽茶碗を焼き続けて15代を数えます。茶道界で楽を知らない人はまずいないでしょう。

 

楽家六代の左入(さにゅう 1685年〜1739年)の時代、1736年に上下巻からなる「楽焼秘嚢(らくやきひのう)が刊行されました。楽焼秘嚢は楽焼の秘伝書として知られます。
楽焼秘嚢上巻
上巻の「竈(かま)を作る法」によれば、赤楽を使う土(赤土で黄色みを帯びた粘性の少ない土)で窯を作るのがよいと記されています。円筒型の窯の上部に蓋があり、排煙穴が3つ開けられた図が描かれています。

 

この内容は各代で蓄積したノウハウを書き記した著書といえます。長次郎の時代からこの形か断言できません。その設計は円筒形(360°)を3等分して、120°の板を3枚使って円筒形の窯を作ります。

 

燃料は炭を使い、上部の蓋を取り外して炭を補充します。この蓋の一部には穴があいていて、色見穴(中の様子を確かめる穴)が設けてあります。
楽窯

 

現代版の楽窯を作るとすれば、3枚の板は耐火粘土かレンガで作ることになります。耐熱・耐火レンガで板を作るとアーチ状になるので、隙間を耐火セメント・粘土で埋めると右図のような窯ができあがります。底にある炭が燃えて、ステンレスの棒に乗った土台と作品に炎がかかります。そのため作品を守るため匣鉢(さや)に入れて焼成します。

 

炎は蓋にさえぎられ横にある排煙孔から出ていきます。還元焼成なら赤い還元炎が噴き出してきます。なお、匣鉢は穴のあるもの・ないものを使い分けます。

 

釉ムラや汚れが付かないようにする場合は「穴なし」の匣鉢を使います。それに対して炭の直火によって窯変を狙うためには「穴あり」の匣鉢を使います。

 

いずれも作品に直接影響を与えますので、目指す作風によって匣鉢を選択することになります。

 

右の図には書けなかったのですが、この窯には下部に送風孔があいています。排煙孔同様、実際には3つの送風孔があります。その孔から空気を送るわけですが、送風機能を持った道具で空気を送ります。

 

 楽窯の長所と短所

この窯の構造を見てみると長所と短所がみてとれます。長所としては吸気孔が3つあるので、上手くすれば空気量=炎の状態をコントロールすることができます。当時使われていた送風機である鞴(ふいご)を用いれば、昔ながらの焼き味を再現できるかもしれません。

 

短所としてはやはり窯が極端に小さいので外気の影響をもろに受ける点です。上記の空気量のコントロールが可能な反面、窯の内部温度の変化が起きやすく、焼きムラが非常に出やすい窯です。また一品ものの焼成しかできないので生産性は最低ラインといえます。

 

そして個々人の力量差がはっきり出る窯なので、簡単に使いこなせる窯ではありません。逆にいえば熟練した作り手が渾身の一品を作る窯としては最適な窯といえるでしょう。

 

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