備前の瓢徳利(ひさごとっくり)

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備前の瓢徳利(ひさごとっくり、ひさごどくり)

 

 瓢箪型について

この形は瓢箪(ひょうたん)の実に似ていることから名付けられました。徳利をはじめ棗(なつめ)や陶製の茶入、建水や水指などの茶道具にもよく見られる形といえます。

 

また、中国では葫蘆(ころ)と呼ばれる形で、瓢箪はたくさん実をつけることから「多産」をあらわし、下が広がる末広型により「運が開ける」「子孫万代(繁栄)」の象徴として知られます。

 

たとえば酒器や茶器以外にも神社のお守り(子宝祈願)であったり、あるいは飲食店の薬味入れ(商売繁盛の祈願)に瓢箪型のものがあります。このように縁起が良い形として親しまれ、私たちの身のまわりでも馴染みのある器形といえます。

 

 備前の瓢徳利(ひさごとっくり)

備前は他の窯業地と異なり、現代においては施釉作品がほぼありません。江戸時代の彩色備前や白備前(ともに施釉備前)を除けば、備前焼は日本における無釉焼き締めの代表格とも言えます。焼き締めならではの土味窯変の景色と手取りで選ぶとよいでしょう。

備前瓢箪徳利

画像のような瓢徳利は比較的よくみられる形だと思います。肩から胴あたりまでの小さな膨らみが一旦すぼまり、胴から底までより広い膨らみをもちます。この形状が手に馴染みやすく、酒を注げばトクリトクリと音も楽しめます。

 

成形は段階を追って作られるケースがほとんどです。たとえば下の房を手びねりで作ったら乾燥させ、土がある程度の硬さになったら上の房を積み上げていきます。もちろん端正にロクロ成形もできますが、手びねり・紐作りの方がうつわに微妙な起伏や表情がついて味わいが深まります。

 

 窯変(ようへん)とカセ胡麻

土はしっとりとした質感の干寄せ(ひよせ:田んぼの土)のほか、やや砂気のある山土を一部混ぜることもあります。備前の田土は耐火度は高いですが、短期間で温度を上げるとブク(器面が泡を吹いた状態)や破損などトラブルになります。そのため焼成期間は10〜15日ほどかけてじっくり焼き上げられます。

備前瓢徳利_窯変とカセ肌

そのため窯の熱風による窯変や、長時間降り注ぐ薪の灰によって胡麻(ゴマ)などの自然釉が器面に見られます。この作品はやや明るめの茶色に窯変が生じ、薪の灰は表面でカサついた状態で残されています。

 

右下のところが普通に焼けた土色とすれば、窯変の色と薪灰のかかった暗色の部分との違いがわかります。こうした艶のない状態を「カセ肌」とよびこうした胡麻をカセ胡麻とよびます。カセの渋さと窯変の対比も美しく、手に取ればほどよいザラつきがあります。

 

 カセ肌の面

さて、この面には灰が一面にかかっています。冒頭の画像と比べると大分雰囲気が違いますね。炎の流れに乗った薪の灰が、この面に向かって降りかかった様子が見てとれます。

備前瓢徳利_火表

カセ胡麻がもっと黄色味を帯びた状態でこびり付く状態があります。そこが榎(えのき)の幹ような様相になることから榎肌(えのきはだ)とも呼びます。カセ肌も榎肌もそのシワの具合などは類似しますが、おおむね黄色っぽいものを榎肌と呼ぶ事が多いです。

 

 胡麻の剥離と口造り

カセ肌も榎肌もシワ状になったところが剥離する事があります。この作品の口回りは買ってから剥がれた部分も含まれます。

備前瓢徳利_口造り

カセ胡麻は灰が固まった状態なので、灰の厚さによっては剥がれることもあります。もちろん窯出し後に剥がれたものは取り除かれます。しかしその後の通常使用でも自然と剥がれ落ちることもあるのです。

 

自然にできた窯キズや多少の剥がれも仕方ない範囲のものでしょう。買った後のことまでは予測できませんが、購入前に小さな傷が仮にあっても、全体的に調和がとれていれば備前は良いと思います。どうしても気になる場合は漆による金・銀継ぎなど修繕をすることになります。

 

なお口造りは起伏をつけて酒の注ぎやすいところを設けています。カセ胡麻の剥がれた口縁まわりは酒を含ませると濡れて落ち着いた肌になります。のぞいた地肌がアクセントとなり、黒いカセ肌の隙間からみえる茶褐色の土が備前らしさをより引き立てます。

 

備前の徳利は手に馴染みその土味も日本酒によく合います。焼き締めは酒の味をまろやかにするといわれますが、実際に体感している方もたくさんいることでしょう。備前の徳利はこの先もずっと手放せそうにありません。

 

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