南蛮焼き締め

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南蛮焼とは

 

 南蛮焼について

南蛮焼(なんばんやき)とは東南アジアから渡来した陶器のことを指します。古くは16世紀にはじまった南蛮貿易によって日本に渡来しました。

 

「南蛮」という言葉は当時の日本国以外を指す蔑称でもあった一方、自国にない珍しい物を表す言葉でもありました。

 

南蛮焼として輸入された陶器の産地は、中国南部やベトナム、フィリピン諸島やインドの一部などです。

 

これだけ広範囲に渡っているため、個々の作風は異なりますが、その大部分は粘土をそのまま焼いた「焼き締め陶器」もしくは「b器(せっき)」と呼ばれます。

 

また一部の南蛮焼には薄い釉薬がかけられており、当時は一国にも値すると称された「呂宋の壺(ルソンつぼ)」は釉薬をかけた南蛮焼の一例です。

 

ちなみにルソン島はフィリピン諸島の中で最も面積が大きく、鉄分を含む粘土を大量に産出した島です。

 

地産の土と炎による窯変(ようへん:色相の変化)が、安土桃山時代の権力者に愛好されました。

 

たとえば当時の茶人である千利休や、豊臣秀吉をはじめとする大名など。わびさびを旨とする茶の湯の世界に、南蛮焼の素朴さと力強さが好まれたのでしょう。

 

 南蛮写し(南蛮を模した茶道具)と日用品

日本にもたらされた南蛮焼は、その後も多くの写し(=南蛮焼を模した作品)が作られました。

 

写しの多くは江戸時代に盛んに作られ、器種は水指や建水、花器や急須や碗など。茶道具を中心に様々な南蛮写しが作られました。

 

茶の湯で用いられた陶器、すなわち茶陶(ちゃとう)以外のものもあります。これら日用品は「南蛮写し」とは呼ばれず、窯の名前をつけて流通していました。

 

たとえば沖縄県で焼かれた古我知焼(こがちやき 18世紀後半〜19世紀前半)や鹿児島県種子島で作られた能野焼(よきのやき 18世紀〜20世紀はじめ)は、無釉焼き締めや薄い鉄釉をかけた純朴な日用品を産出した古窯として知られています。

 

 南蛮焼き締めのぐい呑み

現代においても茶道具だけではなく、日用使いの食器や酒器が作られています。南蛮焼は土味をそのまま活かした「焼き締め」が特徴的といえます。

 

ここでは現代の南蛮焼き締めのぐい呑みを紹介します。

 

国内における産地は鹿児島県の種子島をはじめ、沖縄や佐賀、栃木県の益子など多岐に渡ります。土の要件は鉄分を多く含み、焼き上がりにおいて窯変に富むものであれば南蛮焼の条件を満たします。

 

原土に含まれる鉄分のおかげで、焼成すると胎土は黄〜褐色を帯びます。そして窯の炎が当たる場所よって、多様な色相の変化(=窯変)がうつわの表面にあらわれます。

南蛮焼き締めのぐい呑み

褐色の部分から黄土色、茶色といった実に個性的な表情が見てとれます。こうした色彩豊かな窯変と、表面に噴出した細かな黒斑(=鉄分)が南蛮焼き締めの特徴です。

 

南蛮焼き締めのうつわを日にかざすと、表面の凹凸と窯変の様子がよくわかります。表面はザラついた感触で、滑りにくいため手に馴染みます。

南蛮焼き締めの表面

原土に含まれる鉄分は、小さな黒い粒となって表面に噴出しています。この微量な鉄分が土の個性となり、焼き上がりにおいて、南蛮焼き締めには一つとして同じものがありません。

 

このように南蛮焼き締めほど、土の個性が全体に出るものは少ないと思います。

 

他に土の個性を全面に出している一例として、岡山県 伊部地方の備前焼(びぜんやき)が挙げられます。窯変による火襷(ひだすき)をはじめ、桟切(さんぎり)や牡丹餅(ぼたもち)などが有名ですね。

 

しかし南蛮焼には火襷や牡丹餅のような定義がありません。土をそのまま焼きしめるのは備前焼と同様ですが、南蛮焼の窯変は多様性に富み、その強烈な個性を一言で表せるものではありません。

南蛮焼き締めの高台

この角度から見ると、窯変による色のグラデーションがよくわかります。なおこの作品には高台がなく、底を内側に削った碁笥底(ごけぞこ)という作りになっています。くり抜いた形が、囲碁で使う碁笥のようであることから碁笥底と呼ばれます。

 

次に見込み(=作品の内側)を見てみましょう。ここでも窯変による色の変化が見られます。

南蛮焼き締め_見込みの景色

手触りは表面と同じくザラついています。釉薬がないので土そのものの表情がよくわかります。この作品のようにぐい呑みであれば、見込みの景色も大切ですね。

 

実際に酒を注ぐと、黄褐色から黒褐色のグラデーションがゆらめいて美しいです。酒器を選ぶ際には実際に使う光景を想像しながら見てみるとよいでしょう。

南蛮焼き締めと焼酎

私の場合、焼酎を飲むのに南蛮焼き締めを使います。この作品は種子島の土を使ったもので、芋焼酎の香りに窯変の色合いがとてもよくマッチします。手取りも軽くサラサラしていて心地よい点も気に入っています。

 

南蛮焼き締めは、窯変による色相の変化が第一の特徴です。そして焼き締めならではの手触りも日用使いのうつわとして魅力的です。

 

飾って楽しむものであれば窯変の景色で選び、持って使う作品であれば手に取って感触を確かめながら選ぶと良いです。

 

器としては地味ながらも、飽きの来ない南蛮焼の魅力を楽しんでみてください。

 

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