大堀相馬焼(福島県各地)

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大堀相馬焼(福島県各地:大堀相馬焼協同組合は「二本松IC」より車)

 

 大堀相馬焼の歴史

大堀相馬焼(おおぼりそうまやき)は福島県浪江町大堀を中心に作られた陶器です。江戸時代から現代まで300年以上の歴史を持ち、江戸末期には100軒を超える窯元が軒を連ねた東北最大の窯業地です。

 

さて、大堀相馬焼のはじまりは1690年。大堀村の半谷休閑(はんがい きゅうかん)の使用人で、左馬(さま)という陶工によって始まります。

 

左馬は相馬中村の地で陶技を身に付けたといわれます。そして井出村三森(現:浪江町井手美森)の陶土を用いて駒の絵を描いた茶碗を作りました。これが「大堀左馬茶碗」として売り出されたということです(参考:奥相標葉郡 大堀陶業濫觴)。

 

このことから左馬とその主人である半谷休閑は大堀相馬焼の創始者とされます。

 

その後は相馬藩が陶器生産を奨励しました。1733年には「下りもの」すなわち瀬戸や美濃の陶磁器は商売不可とし、大堀相馬焼を保護する政策をとります。

 

そして1804年に瀬戸役所を設置。この役所から資金援助を受け、江戸と函館に販売所を開設しています。このように販路を拡充した結果、相馬焼は江戸後期に100軒の窯元と100基以上の窯があったといわれます。

 

さらに1853年の益子焼(栃木県)の創始には、大堀相馬焼の陶工らの技術指導もあったとされます。また、安永年間(1772年〜1781年)にはじまった笠間焼(茨城県)にも大きな影響を及ぼしました。

 

こうして一大産地となった大堀相馬焼も、廃藩置県後は藩の庇護を失って廃業する窯元が増えました。

 

明治以降は山水文を描いた山水土瓶や、アメリカに輸出された勿来焼(なこそやき)が知られています。釉薬の縮れた勿来焼は茶碗や土瓶など多くの製品に見られます。

 

そして現在は駒絵や青ひびを特徴とした作品を作っています。なお2015年9月現在、東日本大震災の影響で浪江町からの避難を余儀なくされ、大堀相馬焼の各窯元は県内各所に転居している状況となっています。

 

 大堀相馬焼の特徴

初期の作品は灰釉と鉄釉が用いられます。どちらの釉薬も地元の草木灰と含鉄土石から得られるシンプルな釉薬だったと考えます。

 

そして江戸後期から明治〜大正・昭和にかけて更に多彩さを増し、藁灰・青磁・飴釉・陶胎染付・辰砂など多様な作風が見られます。

 

現在の大堀相馬焼といえば、最大の特徴である「走り駒」の絵付。青磁釉と表面を走る「青ひび」、さらに器胎を重ねて焼いた「二重焼」が大きな特徴となっています。

 

走り駒はもともと相馬藩の御神馬をモチーフに描かれたといわれます。江戸時代、狩野派の絵師である狩野尚信(かのう なおのぶ)の描いた馬絵が手本になっていると伝わります。

 

画像の作品は藍色の呉須で絵付がしてありますね。呉須以外では鉄絵のほか金彩で駒が描かれている作例もあります。

大堀相馬焼 | 走り駒(大正期か)

これはおそらく大正〜昭和ごろの作品だと考えます。絵付がおおらかで馬はみな左向きです。右に出るものが無い、つまり秀でているということを表現しています。

 

次に、青ひびは青磁釉に貫入が入るわけですが、ここに墨またはベンガラなどを塗りこんで色を付けたものです。

大堀相馬焼 | 青ひび(現代作品)

焼成後、窯から作品を取り出しますが、まだ熱い段階で塗布することでひびに色素が定着します。青磁の淡い釉調とひびの着色が多くの現代作品に見られます。

 

そしてこの画像のような構造は二重焼と呼ばれます。これは後ほど紹介する「陶芸の杜おおぼり」で見せていただいた焼成サンプルです。二つの作品をくっつけた状態で焼成することで画像のような状態になります。

大堀相馬焼 | 二重焼

それぞれの隙間には空気が入りますから、たとえば熱い茶を注いでも表面は熱くなりにくいですね。手取りの心地よさを重視し、意図的にこうした構造にしている点が特徴です。

 

 相馬焼:二つの系統

さて、単に「相馬焼」といった場合には二つの系譜があります。民窯(民間で営まれた諸窯)である大堀相馬焼、そして相馬藩の藩窯であった相馬駒焼(そうまこまやき)です。

 

大堀相馬焼は双葉郡浪江町を中心にしていたのに対し、相馬駒焼は福島県相馬市の田代窯で作られました。

 

江戸時代の相馬駒焼は「走り駒」の絵付を特徴とする一方、大堀相馬焼では藩のトレードマークである駒の絵付は禁じられていたといいます。

 

東日本大震災を経た現在、相馬駒焼は後継者が不在の状況であり、走り駒の意匠は大堀相馬焼に受け継がれています。

 

大堀相馬焼の窯元は2015年9月現在、8軒の窯元が生産を再開し、福島県各地で操業している状況です。大堀相馬焼の協同組合である「陶芸の杜 おおぼり」は、浪江町から二本松市に移転しています。

 

この陶芸の杜 おおぼり二本松工房では、各窯元の作品を展示販売しています。各窯元の作品と特色をまとめてみることができます。

 

営業時間のほか工房での陶芸体験、そして各窯元の情報については直接問合せていただければ確実です。

陶芸の杜おおぼり二本松工房

大堀相馬焼協同組合(陶芸の杜おおぼり 公式サイト)

  • 電話番号:0243-24-8812
  • FAX番号:0243-24-8813 ※公式サイトより転載

 

なお、二本松工房までは車での移動がよいでしょう。二本松ICが最寄りのインターとなり、近隣には二本松萬古焼(にほんまつばんこやき)の窯元である「井上窯」があります。

 

二本松萬古は朱泥の急須のほか、木灰を主体とした施釉陶器が主な作品です。これら地場の陶磁器を見ることのできるエリアです。

 

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