柿釉 | かきゆう

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柿釉

 

 柿釉について

柿釉(かきゆう)は鉄釉の一種で、茶褐色の釉薬を指します。その色調はチョコレート色ともいわれ、必ずしも柿の色と一致するとは限りません。

 

柿釉は釉中の鉄分がおよそ12%〜15%となります。鉄分は約10%で黒色を呈し、それ以上増えると次第に飽和してきます。つまり柿釉の渋い茶色は、溶けきれずに飽和した鉄分の発色といえます。

  • 調合例1:福島長石5:土灰4:中国黄土1。外割でベンガラ10%

黄土とベンガラの鉄分によって着色します。ベンガラは酸化第二鉄を含みますので、代替できる原料で置き換えてもよいです。釉が流れやすいようであれば土灰を減らしてカオリンを足してもよいです。

  • 調合例2:福島長石5:土灰3:朝鮮カオリン1:中国黄土1。外割でベンガラ10%

また柿釉の焼成条件は、還元焼成と徐冷が望ましいです。なぜなら酸化雰囲気が強いと、黒味が増してしまうからです。そして徐冷によって鉄の結晶が生成されます。

 

酸化焼成では、柿釉というよりむしろ天目釉に近い黒肌となります。それとは逆に、天目の一部(口縁など)に柿釉の発色が出ることがあります。これは釉の組成が似ていても、焼成状況が部分的に違ったためでしょう。

 

つまり柿釉は12%を超える鉄分量と、還元焼成・徐冷によって茶色になるとまとめられます。釉薬の表面に鉄の膜ができ、還元炎によって茶〜赤味の発色をします。そして部分的に黒い結晶が浮き出ています。

柿釉

鉄分をさらに増やしていくと、結晶がもっと細かく噴き出してきます。そうなると鉄砂釉(てっしゃゆう)となります。鉄砂釉はあずき色の発色で、細かな粒状の結晶は金属製の光沢を持ちます。

 

このように鉄分の多寡だけではなく、焼成雰囲気・冷却条件・結晶の形と大きさによって、柿釉にも鉄砂釉にもなりえるのです。

 

 柿釉の例

さて柿釉の作品は画像のように赤味の強いもの、渋めの茶色の作品など様々です。

 

伝世品では中国の磁州窯や定窯で焼かれた柿釉が有名です。中でも定窯のものは柿釉定窯磁を略して「柿定」と呼ばれます。柿定はチョコレート色の作品が多く、典型的な柿釉の好例といえます。

 

また古瀬戸の茶入においては、飴釉の作品のほか柿釉の優品があります。飴釉も柿釉も同じ鉄釉の仲間ですから、鉄分の含有量や土・焼成条件による違いです。この条件を意識して見比べてみると面白いかもしれません。

 

現代であれば、益子など民窯で焼かれた素朴な作品群にも柿釉はよく見られます。ちなみに益子に産する芦沼石(あしぬまいし)は、単味で使うと柿釉になります。ただし天然石なので個体差があり、溶けにくいものには媒溶剤を加えているそうです。

 

益子では濱田庄司をはじめ、民芸陶器を焼く作家たちは柿釉の作品をたくさん残しました。これは柿釉の原料(含鉄土石)が豊かだったことに加え、素朴で温かみのある益子の土に合ったからでしょう。

 

総じて厚手の作品と柿釉は良く似合っています。益子に限らず日本各地において、柿釉は親しみのある釉薬といえるでしょう。落ち着いた渋めの色合いと、微細な結晶の美しさが柿釉の魅力といえます。

 

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