陶磁器の煮沸は必要?

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陶磁器の煮沸は必要?

 

 陶磁器を米のとぎ汁で煮ると

新品で陶磁器を買うと取扱説明書がついてくることがあります。その中に「米のとぎ汁で煮沸してください」とありますが必須事項でしょうか。結論からいえば煮沸は必要ないと考えます

 

では実際に作品を煮ると何が起こるのか、煮沸がいらない理由について述べたいと思います。

  • 水が沸騰する温度:100℃
  • とぎ汁の成分:ヌカ(でんぷんを含む)

吸水性があればそのうつわがでんぷんを吸収します。この時点でほぼ吸水性がない磁器は煮沸する必要がないといえます。

 

とぎ汁のでんぷんは非常に細かい粒子状になっています。吸収されると目に見えないほどの小さな穴や割目、貫入などの隙間をふさぎます。その結果うつわの吸水性が少なくなります。

 

なお冷水の状態から陶器を入れて100℃まで温度を上げても、熱で破損することは考えにくいです。なぜならはるかに高い温度(素焼き程度の低火度でも500℃〜800℃)で焼かれるからです。同様の理由から変形するリスクもほぼないでしょう。

 

このように汚れやにおいのリスクを低減できるいっぽうで、目詰まりしたでんぷんによってカビが生じることもあります。これは有機物がうつわの割目に入り込むので仕方ないことです。

 

実際に貫入の内側が黒ずんだ作品もあります。内部の汚れなので漂白剤でも落ちません。煮沸してない同手作品の汚れは漂白剤で落ちたので、目詰まりによる内部のカビと判断します。

目止め_貫入のカビ

よく言えば「吸水による影響を受けにくい」、悪く言えば「でんぷんで目詰まりしている」状態です。長期的に考えれば衛生的な理由からとぎ汁による煮沸は一概にお勧めできません

 

吸水性の高いうつわはでんぷんで隙間をふさぐのではなく、使用前にしっかり水に浸けるのが自然で最もよいでしょう。水を吸って色が変わる場合は、色がそれ以上変わらない時点まで水に浸けておきます。
(参考ページ : うつわの使いはじめに

 

ちなみに「真水で煮沸してください」と書いてある取説もあります。しかしこれは意味が分かりません。たしかに熱湯の方がより水は浸透しますが、100℃程度の熱でうつわ自体の隙間が締まるとも考えにくいです。よって水につけておけば十分だと思います。

 

 煮沸する場合の注意点

水につけるのが自然で望ましいのですが、中にはとぎ汁を使わざるをえないケースもあります。たとえば水漏れがするうえに漏れた場所が特定できない場合などです。

 

場所がピンポイントで分かればパテや漆・ボンドで埋められます。しかし場所が特定できない場合、とぎ汁で煮沸すると小さな水漏れくらいなら止められます。

 

煮沸時間は30分〜1時間程度で十分でしょう。火を止めたら半日から1日放置したあと、きれいにすすぎ洗いします。

 

【その他の注意点】

  • 冷水の状態から温める:熱によるうつわの破損は考えにくいですが、念のため徐々に温度を上げていきます。また、沸騰したお湯に入れると火傷のおそれもあり危険です。
  • 強火をさける:容器によりますが、火が強いと沸騰した際に気泡がたくさんたちます。小さな作品だと気泡で揺れて危ないので弱火で加熱します。
  • 重ねおきしない:重ねて置くと気泡によりうつわ同士がぶつかり合って破損するおそれがあります。

その後はきれいに洗ってから十分に乾燥させます。煮沸の有無にかかわらず丁寧なすすぎと乾燥が肝要です。

 

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