輪形 | りんなり

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 輪形について:雪峰の例

輪形(りんなり・りんけい)とは全体が円形になったうつわをいいます。もっぱら茶碗に用いられる呼称で、輪や玉のように円い形の茶碗を指します。

 

輪形の特徴は高台から弧を描いて立ち上がり、さらに口縁部を過ぎて内側に抱え込む形をしています。

輪形の茶碗

高台は総じて低い作例が多いと思います。内側に抱え込まれた口縁は「姥口」(うばぐち)といい、作品全体でひとつの球状に見えるほど丸みを帯びています。

 

伝世品の一例を挙げれば、本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ 1558年〜1637年)の楽茶碗に輪形の作品があります。

 

たとえば器形の円さと姥口の作例であれば、「乙御前」「紙屋」「毘沙門堂」「雪峰」などが挙げられるでしょう。

 

とりわけ畠山記念館が所蔵する「雪峰」(せっぽう)は、この4椀の中で最も円みを持った器形をしています。

 

雪峰は赤楽の肌に白釉が流れ、それらを峰に降り積もる雪に見立てた光悦自身による命銘とされます。そして器面のひび割れには金継ぎが施され、器形・釉調・装飾全てにおいて独創的な名椀です。

 

私は畠山記念館のほか、五島美術館で雪峰を目にする機会に恵まれました。華やいだ先入観を持って鑑賞したところ、思いのほか落ち着いた風情が印象的でした。そして口縁からさらに上部まで繋がるような「輪」がイメージできました。

 

以来、輪形の茶碗を見るたびに雪峰を思い起こします。この名椀は光悦の代表作のひとつであり、輪形の典型例ともいえるのではないでしょうか。

 

またMIHO MUSEUMの「太郎坊」は姥口というほど抱え込みはないですが、円い器形は輪形の一例として参考になるでしょう。凸になる高台がない碁笥底(ごけぞこ)なので、作品の下部は「輪」をより連想しやすい形といえます。

 

 輪形と姥口

さて、輪形の茶碗は手取りはどうでしょうか。本歌はもちろん眺めるだけですが、写茶椀であれば販売店で似た形のものを手に取れます。

 

茶碗を支える手は、高台部から円みある腰に添えることになりますね。全体的に円い器形ですので、底に重心がある作品は安定して使いやすいと考えます。

 

次に姥口は一見飲みにくそうな印象を受けますが、けしてそんなことはありません。抹茶を飲み干す時には茶碗を傾けますので大丈夫です。

 

むしろ口径さえ十分あれば(10〜12cm)、茶碗を傾けても抹茶がこぼれにくく使い勝手はよいです。

 

逆に口径が小さいとちょっと困ってしまいますね。茶碗を傾けて飲み干すさい、飲み口の対面が額にぶつかりそうで煩わしいと思います。

 

最後に姥口の利点ですが、茶の香りを閉じ込めてくれる点がよいところです。たとえば前述の雪峰の口径は11.6cmです。

 

仮に雪峰の口縁が正方円であれば、11.6cm×円周率(≒3.14)で口縁の全長が求められます。口縁の全長は約36.4cmになりますね。

 

つまり36.4cmにわたり、口縁が内側に抱え込んだ状態ということです。内巻きの口縁部のおかげで、抹茶の香りは逃げにくくなります。その結果、茶をいただく時に香りと温かさが保たれているわけです。

 

このように、輪形は底から弧を描きながら、口縁を通り越して自然と姥口になるケースがよくあります。個性的な器形のみならず、保温力と香りを逃がさない実用性を兼ね備えているといえます。

 

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